当て馬基質 55 ページ10
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時が過ぎるのは早いもので、夏休みも終わり頃。
クラスの準備も大体目処が立ち、私達は部活の練習へと打ち込んでいた。第2音楽室に響くバンドの音を聞きながら、私は飲み物を持ってきたり備品を確認したり録音したりと そこそこにバタバタとしていた。
志麻の、はい休憩ーなんて声で かっこよく演奏していた4人はすぐにだらりと床にへたりこみ、私はタオルと飲み物を配っていく。
浦ちゃん、志麻、坂田、センラの順番で渡し、そのまま私はセンラの隣へと落ち着く。
なんとなく、センラに告白されて以来から センラの隣が私の定位置になりつつあったりなかったり。私が 少し離れた所にいても、センラが気にかけて話し掛けてくれる為、どうせならとよく近くにいるようになったのだ。
今日も今日とて変わりなく彼の隣に座ると、座って壁に寄りかかりながら飲み物を一口飲んだセンラは、Aちゃんさーと宙に視線を彷徨わせながら言葉を紡ぐ。
「 後夜祭、花火あるやん 」
「 あーあるね 」
「 あれ一緒に見ぃひん? 」
「 あー… 」
文化祭、と言えばセットとなってついてくるものは後夜祭、というものであって。
うちの高校では、その際に花火が何発か打ち上がり、そして高校あるある…みたいなもので、その花火を一緒に見た男女は好い関係になれるとかそんな噂もあったりする。
去年の文化祭は、普通にみやのんと回って 後夜祭になって確か… この4人とも会って、みんなで花火を見たっけか。
その時、確か私の隣にいたのは 坂田だったはずだ。好きだった女の子に後夜祭一緒に回ろう、っていうのを断られてしょんぼりとしてたくせに、いざ花火を見たらそんな事も忘れたようにキラキラとした目で花火を見ていたっけ。
「 去年も一緒に見たじゃん 」
「 みんなで、じゃなくて 二人で 」
「 …それってデートのお誘い的な? 」
「 Aちゃんがそう思うならそうなんちゃう? 」
デートって程でもないけどな、とくすくす笑うセンラに、確かにこの男ならもっと素敵な所に連れてってエスコートまでしてくれそうだな、なんて幻想を抱きながら返事を考える。
今年は、みやのんは 部活の方で後夜祭の発表があるとかなんとかで確か一緒に回れないし、となると 一人だったはずだ。別にセンラと回るのも悪いことじゃないだろう。
ーーどこか、モヤモヤした気持ちを抱えながら いいんじゃないかなぁ、なんて他人事な言葉をセンラに返したのだった。
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零生(プロフ) - ルテメナさん» ありがとうございます〜!私も自分で作り出したオリジナルキャラでみやのんはトップレベルで好きなので嬉しいです! (2019年4月5日 22時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
ルテメナ - 少し遅れましたが、完結おめでとうございます。お疲れ様でした!もうちょっと早くこの作品を知りたかったですw なんというか、みやのん大好き。(え) (2019年4月5日 22時) (レス) id: 725488054e (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - キャンディットさん» キャンディットさん! いつもコメントありがとうございました!! 更新の力にさせてもらっておりました。私も大好きです! 本当にありがとうございます!! (2018年12月28日 20時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
キャンディット(プロフ) - すごく、すごく良かったです!!もう高評価1つじゃ足りない…。完結おめでとうございます!!零生さん好きです!!(?) (2018年12月28日 18時) (レス) id: 8583ad440a (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - もかさん» 長い間のお付き合いありがとうございました!私も書いていて、幸せになってよかった〜と思っております笑 他の作品も頑張りますので、良かったら覗いてやってください! (2018年12月27日 16時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
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