当て馬気質 84 ページ39
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「 もしかして やだった? 」
「 違うわ馬鹿 」
私の涙が、どうやら不快感などから出たのだと勘違いした坂田は しょんぼりと眉を下げて私を見ていて。というか、嫌だったら一回目のキスだってしてないと思うんですよね!
なんなら嫌だったのはそっちでしょうに、と視線をくれてやると 安心したように息をついた坂田は あのね、と。
「 前、嫌だって思わなかったんだ俺 」
「 …どういうこと? 」
「 観覧車でAにキスされて、びっくりしたけど 嫌だって感情は見つからなかった 」
その時のことを思い出しているのか、上空に視線をやった坂田は 振られて傷付いてるからとか ただ驚きすぎて感情が追い付いて無いんかなって思ったんだけど、と言葉を続ける。
嫌だと思わなかった、だなんて 時を経て言われるなんて思っていなかったから こちらが驚いてしまう。今まで避けられていたというか、気まずい感じになったのだって私のあの突然の行動が坂田にとって嫌だったからだと思っていたのだ。
「 正直なところ、Aの事を一人の女の子として今まで見てなかったんだよね 」
「 うわ失礼 」
「 ずっと小さい頃から一緒だったんやし しゃあないやん! 」
そう言われると、確かにそうだ。私だって前々から坂田のことが好きではあったが、だからといって一人の男として警戒心があったかなどと問われれば答えは否である。
幼馴染み、というのは基本そういうものなのだ。目の前のそいつは、幼馴染みのそいつ という認識であって女だとか男だとかそういうのはあまり気にはならない。…いや、正直他の幼馴染み達はどうなのか知らないけど。少なくとも 私達はそうだった。
「 でも、その…観覧車の時以来、Aも女の子なんだって今更になって気付いて 」
「 ほんと今更だな 」
「 うん…ちょっと後悔してるんだ 」
「 後悔? 」
何に対してか、という意味で問うたはずなのに ちょっとじゃなくてかなりかも、と 私の問いに対しては頓珍漢な答えが返ってきて。
どういうこと、と目線で問うと 私の視線から逃げるように目を逸らして、えーっと、と口ごもる。
それから、数秒。坂田は未だ照れたようにぽりぽりと頬をかいていたが 私の方を向いて、
「 俺がちゃんとAのこと見てれば、きっともっと前から Aのこと幸せに出来たのになって 」
なんて、一言。
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零生(プロフ) - ルテメナさん» ありがとうございます〜!私も自分で作り出したオリジナルキャラでみやのんはトップレベルで好きなので嬉しいです! (2019年4月5日 22時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
ルテメナ - 少し遅れましたが、完結おめでとうございます。お疲れ様でした!もうちょっと早くこの作品を知りたかったですw なんというか、みやのん大好き。(え) (2019年4月5日 22時) (レス) id: 725488054e (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - キャンディットさん» キャンディットさん! いつもコメントありがとうございました!! 更新の力にさせてもらっておりました。私も大好きです! 本当にありがとうございます!! (2018年12月28日 20時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
キャンディット(プロフ) - すごく、すごく良かったです!!もう高評価1つじゃ足りない…。完結おめでとうございます!!零生さん好きです!!(?) (2018年12月28日 18時) (レス) id: 8583ad440a (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - もかさん» 長い間のお付き合いありがとうございました!私も書いていて、幸せになってよかった〜と思っております笑 他の作品も頑張りますので、良かったら覗いてやってください! (2018年12月27日 16時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
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