16人のマネージャー2

67 ページ21

加藤side

日本を発つあの日
俺は心を鬼にしてAに背を向けた
嫌われるのも覚悟で

振り向いたら抱きしめてしまいそうだったから

飛行機に乗って映画を見ても頭に全く入ってこない
Aのことばかり考えて

加藤(泣いてるのかな)

別れを言ってからAは涙を一度も見せなかった
泣き虫なのに

強がってるのが俺を思ってだって痛いほど伝わってきた

俺にできること
それはきちんと仕事して胸を張って日本に帰ってAにプロポーズする

そう心に決めて新しい生活へ踏み出した

あれから2ヵ月
元々勉強していたこともあって語学の面では全く問題なし
職場にも慣れてやりがいのある仕事ができてる

Aには連絡してない
何度通話ボタンを押そうとしたか、でもAの声聞いたら会いたくなるし仕事投げ出して日本に帰りそうな自分がいる

Aはきっと気を遣って連絡してこない
俺がしなければ連絡を取ることはない
だから我慢

今日はAが担当してるグループが芸能ニュースに載ってた
初めて見た
今まで怖くて調べられなかったんだ

加藤「イケメンばっかじゃん…」

マネージャー、だから毎日一緒にいるんだろう
そうだったらAが誰かを好きになる可能性もあるし、この人たちがAに惚れるのも無理ない

それだけAはいい子でかわいくて優しくて気が遣えて

もし、帰ったとき他に彼氏ができてたとしても俺にはそれを止める権利はないし、Aが選んだ人だとしたら全力で応援したい

そう言ったら強がりだねって笑うんだろうな

でもまだ俺にも希望が残ってるとしたらそのときは俺がAを幸せにしたい
これから死ぬまで一緒にいたい

婚約の約束なんてずるすぎることしたのは自分でもわかってる

でも

加藤「離したくないんだよ…！」

どうしても変えられなかったホーム画を見ながらそう呟く
それは2人で旅行に行った時撮った写真

俺がふざけて変顔してAがちょっと怒ってるような
俺ららしい幸せな瞬間

楽しかったな
次はどこ行こうか、新婚旅行になるのかな
国内もいいけど海外もいいよね
Aと行きたいところ、見たい景色が俺の中にはまだたくさんあるよ

今日もAのことを考えながら寝ます
夢に出てきてくれる気がするから

Aはどうですか？

68→←66

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す