16人のマネージャー2

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Aside

吉野さんの声がおかしい

あのいつもの柔らかい高音が全然響いてこない
絞り出すように声を出してる

いてもたってもいられなくてリハを無理やり中断させてもらった

吉野さんの手を引いてステージ裏へ

吉野「どうしたの？急に」

A「声、出しづらいですよね」

吉野「…ううん、そんなことない」

A「嘘です。私の好きないつもの声が出ていないです」

吉野「…Aには隠し事できないんだね」

A「じゃあ、」

吉野「うん、疲れが出て昨日から少しダルさがあるんだ」

A「熱は？」

吉野「熱はない。ほんとに喉風邪。ごめんね」

A「謝らないでください。ちゃんと見てなかった私の責任です」

吉野「Aは悪くないよ」

困ったように笑ってくれるけど、もっと早く気付けなかった自分に悔しくなる

A「とりあえずマスクして、乾燥しないように。のど飴舐めておいてください」

吉野「歌うなって言わないの？」

A「本当は歌って欲しくないです。最悪口パクって手もあります。でもきっと吉野さんは何言っても歌いますよね」

吉野「…うん。よくわかってるね笑」

A「毎日何のために皆さんのこと見てると思ってるんですか笑」

吉野「ありがとう」

A「皆さんを支えることが私の仕事です。辛くなったら絶対に伝えてください」

吉野「うん、他のメンバーには」

A「私からは言わないです。でも吉野さんの隣で歌われてるお2人には伝えるべきだと思います」

吉野「そうする。ほんとにありがとう」

A「明日の公演も必ず成功させましょ！」

吉野「うん！Aもメンバーの1人だから！」

軽い足取りでステージに戻っていく吉野さんを見て安心した

次の日からの公演は吉野さんは喉を最大限にいたわりながら
掛け声など張り上げる事はしない

陸さんとかずまさんに頼りながらだったけど無事終えることができた

吉野「Aのおかげだよ」

A「当たり前のことしただけですよ笑」

吉野「ううん、あのままだったら歌えなかったかもしれない。やっぱり俺にはAが必要なんだぁ」

横に並んで歩いてたら肩を組まれてゆらゆらする

吉野「Aにも俺が必要？」

A「皆さんのおかげで毎日が楽しいです！」

吉野「うん、そっか。これからもよろしくね」

A「もちろんですっ！」

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