マネージャーの鑑【北信介】 (ページ3)

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お昼寝 2 ページ3

『美味しかった…ごちそうさま！』

手を合わせて味の余韻に浸る。

信介「はい、お粗末様。布団敷いてあるから、ゆっくり休み。」

…なんと出来た旦那だろう。

私が寝ている間に干していた布団を取り込んで、用意をしてくれたらしい。

『ほんまありがとう…信介くんも疲れとるのにごめんなさい…。』

申し訳なくて顔を上げられない私に彼は

信介「そやな、お前も疲れとるし俺も疲れとる。でもせっかく揃った休みなんやし、少しはらしいことしたいな思っとった。」

そう言って腰を上げると、私の手を握って立たせてくれる。

『信介くん？』

信介「…俺も昼寝しよかな。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

明るいうちから、こうやって布団にくるまるのはいつぶりだろう。

寝室にいけば、敷かれた布団は一つだけ。思考が止まっている私を他所に布団へ潜る彼。

信介「何ぼーっとしとんの。おいで。」

腕で布団を浮かせる彼の姿にときめいて、返事も無しに隣へ寝転がった。

彼がこんな時間帯に横になる姿を見るのも久々。当の本人は寝るといいながら私の頭を撫で続けている。

これは付き合ってすぐ分かったことなのだが、彼は思いの外スキンシップが多い。所構わずと言った感じで私に触れてくるのだ。

高校時代、7組で1番端っこのクラスだった彼。

当然、私のクラスの前は通り道だったわけで。

彼の顔を少しでも見たくて、休み時間は決まって廊下で友達とおしゃべりをしていた。

そんな私の気持ちにきっと気づいていたのだろう。彼は必ず私のすぐ近くを通って教室へ帰っていた。

結んだ髪を一瞬指に通してみたり、背中にそっと手を置いて目も合わせず通り過ぎていったり、私の驚く反応見たさに、わざと何もせずに無視して帰っていくこともあった。

いつもは冷静沈着な彼が見せるギャップあるその姿がたまらなく好きで、ドキドキするのは今も変わらない。

信介「ほっぺ真っ赤やん。何考えとんの。」

ニヤリと笑って私を見つめてくるその目は今にも眠ってしまいそう。

少し悔しくなって、背を向けようと体を動かす。

すると伸びてきた色白のガッチリとした長い腕が私を包みこんだ。

信介「…貴方…」

頭の上から聞こえる優しい声に、しばらく惚けていた。

『…信介くん？』

ふと我に返って、名前を呼んでみたが返事は来ない。

身をよじって見上げれば、ぐっすりと眠っていた。
相当疲れていたのだろう。

『…おやすみなさい。』

触れるだけのキスをして、私も瞼を閉じた。