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たとえそれが呪いでも ※微ネタバレ (エジソン) ページ4

「わたし、私ね。確かに幸せだったんだよ。
友達とのんべんだらりと過ごす日々も、家族とすごした暖かな時間も、英雄達と駆け抜けたあの激動の非日常も。」
ぽつりと背中越しの彼に声をかける。
「そうか。マスターは幸せだったか。これは私の独り言だが…マスターは今も、今も幸せか?」
珍しく弱々しい独り言に驚く。
何せ彼は廊下まで響くほど大きな独り言をつぶやく人だったからである。合わせている背中にぐっともたれもふもふ(むきむき?)を堪能する。
「エジソンが残ってくれたし、あの日々はなかったことにもならないし、例えなかったことになったとしてもそれを覚えてくれている人がいるし、私が覚えてる。無事に人理だって修復できたし、これ以上ない幸せだよ。」
彼の肩がふるりと震えた。
「それではマスターの幸せは…いや、何も言うまい。…ところで我がマスターはこの先何がしたいとこはあるのだろうか。これは私の独り言の為、誰も聞いていないし答えなくて良いものだ。」
彼はひどく優しい人だ。こうして直接聞けばいいことでさえも私に逃げ道を与えてくれる。
人類最後のマスターをたった一人の普通の人にしてくれるだなんて。
「…何も考えずにゆっくり休んで、それでみんなとまた一緒に笑って、のんびりできたらなって、また、笑いあえたらなって。私、わたし、みんなとおわかれなんてしたくなかった。仕方ないと分かっててもおわかれなんてしたくなかったんだよ、エジソン」
弱音と共に涙まで零れてああ、余計こんな顔見せられないなぁ。
「私はすっとんきょうと違うので可能な限りそばにいよう。そして、必ず覚えていると約束しよう。次に私が召喚される時、その時はまあ、姿は変わっているが、必ずAの縁を辿り、Aに召喚されると、そう約束しよう。なに、安心したまえ。私はできない約束はしない主義でね。ほかの連中もきっと似たようなことを思っているさ。だからまあ、なんだ。これは別れではない。暫しの離別なのだ。再開までの準備期間なのだ。涙は再会の時に取っておくことをオススメする。」
もふもふ(ごわごわ)なたてがみを押し付けながら言う天才の言葉が上手く飲み込めなくてぽかんとする。時間とともに何を言わんもしているか理解できて余計に涙がぽろぽろとこぼれおちていく。
「あのね、あのね、エジソン。いつか聞いて欲しいことがあるの。だから、だからね、エジソン。絶対に私のことを覚えていてね。約束よ。」
「ああ、勿論だとも。我がマスター。」

詩人は恋詩が書けない (アヴィケブロン)→←隠しきれない隠し事 (アーチャー)



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作者名:キーモン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nawa34562/  
作成日時:2017年6月18日 21時

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