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遠くの声 ページ3
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声が聞こえる
低くて枯れたような声
声質からおそらく男だろう
その声はなにかを懸命に叫んでいる
視界は真っ暗でなにも見えない
ただ直接脳にその声が響いている
雑音に近いその声を意味のある言葉として理解するために
意識を集中させる
その声は「輪廻」と叫んでいた
「輪廻」それは僕のことだ
返事がしたかったけど声が出なかった
声の主にどうしたの？と聞こうとした時
急に視界が明るくなった
恐る恐る目を開けて見ると
そこは真っ赤に染まったフローリングの床が見えた
もう一度ギュッと瞬きをして視線を上に向ける
そこにはぐちゃぐちゃになったナニカと
沢山の人
それが僕の家族だったモノと警察だと認識するまでに
20秒ほどかかった気がする
更に僕がリビングの床に横たわっていると認識するのにまた
30秒ほどかかってしまった
そう
さっきの声の主は僕の父さんだった
父さんだったナニカは動くことなく
ただただ赤い液体を流している
辺りがとても鉄臭い
どうして
どうしてこうなったんだろう
なんて疑問を抱いていると明るかった視界に
スッと黒い影が入る
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作者名：asuretiltuku | 作成日時：2023年5月29日 21時
