謎解き遊戯のサイハテ

口論対決、推理対決。 ページ8

『結構です』


乱「…何で？」


先程までの彼女には、呆れたような、面倒
くさいような色があったが、今はその色に、
憤りの色が混じっているようである。



『都合よくyesが貰えると思わないで。
そもそも、初対面であんな失礼極まりないことを云われて、こちらが快くOKするとでも
お思いで？』


やっぱり根に持つタイプなのか、数週間前の
例の事件での出来事を、ズルズルと引きずっているようである。



乱「もう、そんな堅いこと云わずにさぁ、
じゃあ、それは謝るから、ね、一緒に＿＿＿」



『あなた、推理対決をわかっていますか？』



乱「え？」




少々おちゃらけた空気が流れていたのが、一瞬で塗り替えられた。

ここはAの空間で、彼女がルールであるようだ。



『あなたの云う"推理"は、犠牲の元に成り立つものなのです。失われるのは命。その誰かさんの命で、ゲエムをするのです。そんなことを
してまで、ゲエムをしたいとは思いません』



そこで言葉を切ると、立ち上がって本を片付け始めた。

そしてまた話し始める。

『私に人命の尊さを語る資格はありません。
私にとって命とは、この世の中で最も価値の
低いものであり、等しく無価値です。
誰が死のうと構わない。
一々失われた命に、祈りを捧げるほど私も
暇じゃない。

推理対決、大いに結構ですよ。

だけど、


あなたとやるのは厭だ』


乱歩はどこか哀しそうな顔をした。

福沢は唖然としている。


『話はそれだけですか、なら、帰って下さい』


いじけているというか、哀しさにうち剥がれているような乱歩の顔を見て、何を思ったのかは知れないが、ため息を一つついて、こう
云った。


『なら、一つ教えてあげます。あなた、前の
事件で私がどうやって犯人を当てたか知りたいんでしょ。あれは私の異能ですよ。私の異能、
【虚像】は、〈真実を見る〉ことができます。
過去も未来も、それが真実なら、何でも見る
ことができます。但し、真実を見るには代償が伴うのです。現在の状態からその真実に近づくために、どれだけの苦労が必要か。それと全く同じ価値の何かが、この世から消える。
何かはわかりません。お金かもしれないし、
本かもしれない。もしかしたら、人の命かも
しれない。だから私は証拠を最低限集めてから異能を発動させるんです。その方が代償が軽いから。わかりました？』

乱「う、うん」


乱歩は生半可な返事を返した。

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