【番外編】それでもあなたが�� ページ43
｢ちょっと！///｣
体と体が密着して、深く暖かい感覚を全身に感じる。
初めて感じる、異性のからだ。
すっかり抱き寄せられたその体は、火傷しそうなほど熱くなっていた。
｢フフ…このまま犯してやろうか。｣
耳元で囁かれた言葉を、どうやら冗談だと思わず、私は本気にしたらしい。
全身の力を振りほどいて身を離す。
｢……もう、いきなり…｣
｢さて。これで事は終わりだ｣
｢え、なに…？｣
｢俺は貴様のために京へ参ったり、生きているわけではない。
この峰の先を超えたところで、俺は鬼としての務めを果たさねばならぬ｣
あんなことをされて、ますます意識してしまったのに、彼はここでお別れをしようとしてる。
｢風間…！｣
横を通りすぎて行こうとするその体に未練がましいとばかりに抱きつく。
振り払われても、衝動でその太い腕を掴み返す。
｢どうして…もう私は、
この手を離せない…｣
こんな気にさせておいて。自分勝手はどっちの方よ。
そう思うと、自然と涙はポロポロ溢れた。
｢俺のためを思っても離せぬか？｣
＿＿＿。
この人に会うまで知らなかった鬼の存在。
こんなにも繊細で複雑なものだとは知らず、私は容易に人に恋をした。
それも、忘れられないような恋。
私達は、深く関わるのには厳しい存在だった。
夕方、寂しさを思い知らされるような冷ややかな風が私達の肌を触った。冷たいからか、あまり良い心地はしない。
ふわり。揺らぐ髪。
揺らいだのは風のせいじゃなかった。
＿＿＿“それが誠に、貴様の望む良心なら。”
暖かい感覚に顔を上げると、風間の手のひらが顎を包む。
細い指が白い肌を優しく撫でた後、静かに唇が落とされた。
番外編〜嘘つき〜(風間千景)→←【番外編】それでもあなたが��
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作者名：鬼巳 | 作成日時：2017年10月28日 16時
