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俺が構えるや否や、暫しの沈黙があった後、風間さんは風の勢いに身を任せ一気に走り掛かってきた。
＿＿速い。
と見て考えているうちに、その距離は縮まってくる。
手先に力を込めて、態勢をとる。
相手が勢いと共に刃を空中へ横切らせた。
俺は間一髪で右に屈むように避けると、目を離さず腹部を目掛けて刀を突き刺した。
それをさせまいと風間さんは上から叩きつけるように刃を下ろしてきて、大きな音を立てて両者の刀が刃毀れする。
力では叶う事が出来ず、暫く睨み合いが続いた。
その時の風間さんの顔は本当に真剣で、偉大な鬼の力を改めて感じた。
でも本人に、風間さんを超えると言ったのに、今まで頑張ってきたのは何だったんだろう…。
今俺は、きっと情けない姿をしている。
伊予の元で修行までしてきて、こんな刀まで作ってきたのに、
『この俺と一対一で、本気でだ』
俺は今、本気なのか？
キンッ、
俺が刀を後ろに引いて跳ねる。
｢隙があるな。そんなことをすれば、相手が俺でなければとっくに斬られていたぞ｣
再び正面に構える風間さん。
余裕がない戦いをしていることは、十分承知していた。
｢今、しかと覚悟を決めました｣
刀を持ち直して、その刃先を風間さんに向ける。
その様子を見届けた風間さんはフッと微笑んで最初の状態に戻った。
*
＿＿うぉあああー！！
彼女の唸り声が聞こえたと思い、駆けつけてみれば、風間と稽古をしていた。
懐かしい風景だ。
…ただ今になってみると、少し邪魔をしたくなる。
｢やめた方が良い、不知火｣
｢っ…なんだよ｣
気づけば後ろに天霧がいた。
｢久々にあいつに会えたんだ。挨拶くらいしたっていいだろ｣
｢ここは見届けるわけにもいきません｣
｢はあ？｣
｢退いた方が良いかと｣
｢どうして｣
｢風間、何かを企んでいるように思えます｣
｢なんだよそれ｣
｢風間とAの身になにかあったら駆けつけるつもりです。但しそれ以外は、我々は邪魔をする権利などはないでしょう｣
体を強引に引っ張られる。
自分よりも少しばかり力の強い天霧には抵抗してもびくともしない。
｢チッ…ああーー！｣
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作者名：鬼巳 | 作成日時：2017年10月28日 16時
