54 ページ5
.
「Aに、何を」
意識を失ったAに、ざわめく寮生達。そんな彼らを、ルシアは鼻で笑い飛ばした。
「コイツは今疲れてるんだよ。寝かせてやらなきゃ可哀想だろ?」
「ハッ、何を。己の力を見られたくないだけでしょう」
嘲笑混じりにリドルが放った言葉に、ルシアはスッと真顔になる。
「どうだかな。まぁとりあえず、俺がここでお前らを止めなきゃ、コイツは夜も眠れやしないだろうから。俺の静かな夜が、お前らにぶち壊されちゃたまんないんだよ」
「_____ッオフウィズユアヘッド!」
言い募るルシアに恐怖するように、リドルがユニーク魔法を仕掛ける。だがルシアの首回りを渦巻いた光は、溶けるように消えてしまった。
「ハハッ、おいおいローズハート、忘れたのかよ。俺の力をさ_____お前は嫌ってほど、知ってんだろうが」
「_____ッ」
リドルが黙り込むと、ルシアの力を知らない寮生達がざわめく。
「はぁ!?何アレどーゆーこと!?」
「何をしたんだ……?」
「いや、それよりも、なんでルシアがAを守るんだ……?」
それらを唇だけで嘲笑って、ルシアは目をすがめる。
「_____あのさぁ、俺は、普段人と喋らないんだ」
突如始まった自分語りに、寮生達は怪訝な目をむける。
「何故か。まあ俺の活動時間もあるけど、第一に面白くないからだよ。みんな同じ制服着て、同じ授業受けて、同じことを頭に詰め込んでいく。みんな同じ反応、同じ答え、同じものばかり」
視線を落として、彼は過去を脳裏に描く。
「つまらないんだよ。みんなそうだ。だから話さない。無駄だから。諦めていた。_____だが、見てみろよコイツを。異世界から来たとか抜かしやがる。あぁ、そこにもいたっけな。だが違う。俺の異世界人は、俺が最初に出会ったコイツだけ」
サラリと片手でその髪を撫でて、ルシアは唇を綻ばせる。
「Aは、俺の興味を引いた。それだけで称賛に値する。なら俺もそれに応えてやるのが礼儀だろ?俺がAを守る理由は、それだけで十分だ」
「Aは、僕が守る!」
叫んだリドルに、ルシアは冷たい目を向ける。
「コイツを泣かせておいて?_____よく回る口じゃんローズハート。お前じゃコイツは守れない」
リドルが泣きそうに顔を歪ませる。リドルから目を移し、ルシアは静かに言葉を紡ぐ。
「さぁ、そろそろ終わりにしようぜ。
.
_____見よ、者共、物語は終焉だ。
.
2181人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みかん(プロフ) - ルシア君マジテ好きぃ…。天才ですか!? (2022年12月18日 23時) (レス) id: 35aefc2ecc (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - マジ、ルシア君殺さないでぇ……。まだ、続き見てないけど…。まだ、先見てないのに号泣すぎてやばい。。 (2020年10月25日 22時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
アホの化身 - 君が泣くなら私も泣く、ってどうゆう脅しよ。 (2020年10月18日 15時) (レス) id: 62410cc231 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2020年10月16日 17時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
Airu(プロフ) - 53話マジックペンではなくマジカルペンでは? (2020年10月14日 11時) (レス) id: a37b93bc71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白桜 | 作成日時:2020年9月3日 21時