２２ ページ24
空気が凍った音がした。
……あれ、俺なんか言った？
「……エ、エ、エンジェル……。」
蘭と園子は顔を真っ赤にして硬直しているし、
「…………。」
コナンはコナンで険しい顔で俺をガン見している。
……え、コナン怖いんだけど。何。
「……Aお兄さんって、結構キザだったんだね。」
やめてくれ。子どもに真顔でその言葉はキツイ。
俺は滑った口を猛烈に恨みながら、いたたまれなくなって席を立つ。
『じゃ、じゃあ今日はありがとう。またいずれどこかで。』
まだ固まっている蘭達に頭を下げると、俺は逃げるようにレジへと向かった。
追いかけてくる３人の視線が痛かったけど、知らないふりをして４人分のお代を払う。
「あ、Aさん！いいですよ、私達の奢りで……！」
はっとした蘭が後ろからそう言っていたけど、振り返ってちょっと笑う。
『いや。これでも男だし、年上だから。女子高生に払わせるのは俺の矜持が保たれないでしょ。それにもう払っちゃったから、今さらだし。』
そもそも俺、年下とか後輩に奢られるの嫌だし。
『だから、甘えといて？』
悪戯っぽく唇を引き上げると、蘭は顔を再び真っ赤に染めて１つ頷いた。
『じゃ、また。』
軽く手を振って店を出ると、外はまだ賑わっていた。
『よし、んじゃ雑貨屋でも行くか〜。』
「_____ねぇ。」
『うぅわっ！？……んだよコナン君か。どうした？』
急に聞こえた声に振り返れば、そこには小さな名探偵がいた。
俺を見上げる強い瞳には、緊張と警戒心が見え隠れしている。
「_____Aお兄さんって、お酒好き？」
『……まぁ、それなりに。』
何急に。
「どんなお酒？」
…………あぁこれ、もしかしなくても疑われてる？
俺が、黒の組織じゃないかって？
だから安室さんも最初に会った時からなんか妙に警戒してたわけ？
……マジか。
いや気づかなかった俺どんだけ。バカかよ……。
１人で脱力しながらも、相変わらず冷静な頭の中が、ふと言葉を発する。
_____あぁ、気にいらねぇなあ。
疑われているこの状況に果てしなくムカつく。こんなにも人に疑われるのって、嫌な気分になるんだな。
_____なら。
ムカムカし出した腹の中とは正反対に、俺は唇だけで奴に笑ってみせる。
『_____ブラックリキュール、かな。』
お前の推理、引っ掻き回してやるよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1988人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あごしわ - 常に周囲を警戒(サバゲー狂特有) 一ミリも隙がない(サバゲー狂特有) 強烈な殺気(サバゲー狂特有) (2020年1月3日 5時) (
レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
NIL(プロフ) - 白桜さん» 続編移行、初めての時はよく分からないですよね。とても面白いと感じる作品なので、これからも頑張って下さい (2019年7月8日 0時) (レス) id: 6ea316f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
白桜(プロフ) - 続編登録いたしました、申し訳ありません。やり方がよく分からず……。拙い作品を読んでくださりありがとうございます。機械には若干相入れなさを感じます……。 (2019年7月8日 0時) (レス) id: 33d5312230 (このIDを非表示/違反報告)
NIL(プロフ) - 続編が登録されていないのか、２に移動できません。いつも楽しませてもらってます。更新頑張って下さい (2019年7月7日 23時) (レス) id: 6ea316f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
山姥拓海(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください (2019年7月6日 21時) (レス) id: e2c2af4155 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白桜 | 作成日時：2019年5月21日 19時
