サバゲー狂がコナンの世界にトリップしたら

２３ コナン ＳｉＤＥ ページ25

じゃあね、と笑って去っていく男を、俺は呆然と見送ってしまう。


_____あいつは、一体何者なんだ？


疑問ばかりが、頭を埋め尽くす。


ただ普通の男のように、蘭達には優しく接し。

声を上げて、楽しそうに笑う。

サンドイッチを食べているときは、無邪気ささえ感じられた。


_____それ、なのに。


は、と息を落としながら、額の汗を拭う。


時々俺に向けられる、あの異様なまでの殺気が。


水景Aの正体を、蜃気楼のように霞ませる。


どっちが、本当の水景Aなんだ？



『_____ブラックリキュール、かな。』



どんな酒が好きか、という俺の探りに、奴はそう答えた。


_____ブラックリキュール。


世界で最初の黒いリキュールは、オパール・ネラ・サンブーカ。

サンブーカから派生した混成酒で、それまでの暖色に近い黒ではなく世界で初めての紫に近い寒色系の黒の酒。

……サンブーカからは、確かもう１つ、無色透明なサンブーカも生まれている。


つまり、奴が告げたのは、黒と透明という裏表のある酒。


まるで、奴そのもののような……。


……黒は、黒の組織を指しているのだろうか。


それに、さっき水景Aが発した蘭に対しての「エンジェル」という言葉。


あの流れから、蘭に対して「エンジェル」という言葉は普通使わない。


それなのに、奴は使った。


それは、前から言い慣れていたか、それとも蘭に対しての印象を「エンジェル」でインプットしていたかのどちらかを意味する。


前者はないだろう。そんな素振りはなかった。


……じゃあ、後者か。


蘭を「エンジェル」と呼ぶ人間に、たった１人だけ、心当たりがある。


ベルモット。


水景Aが組織の人間で、ベルモットから蘭のことを聞いていたのなら、辻褄が合う。


……だが、まだ確定ができない。


情報が少なすぎる。


今日はたまたま会ったが、奴も警戒していたし、こんなことは余程運が良くなければもう起きないだろう。


……どうする。どう探る？どうやって奴を見つける？


ぐるぐると考え込んでいると、軽く鈴の音がして背後のドアが開いた。


「あら、コナン君。こんな所で何してるの？ほら、帰るよ。」


少しかがんで俺の手を取った蘭に、子どもらしく問いかける。


「ねぇ蘭姉ちゃん、またAお兄さんに会えるかなぁ？」

「そうだね、また会えるよ。」


優しく笑う、蘭の手をギュッと握る。


「……うん！」




突き止めてやる、必ず。



水景A、お前の正体を。

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