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13 コナンSiDE ページ15

『では、俺はそろそろ行きます。』


水景Aは一瞬固まっている俺と安室さんに冷たく視線を流し、すぐさま興味がなさそうに逸らす。


すると同時に、放っていた重苦しい怒気も一瞬にして消えた。


そのまま奴は気怠げに立ち上がり、安室さんと話しながらレジの方へ歩いて行く。


「……っ、はぁ…。」


俺はカラカラに乾いた喉をジュースで潤し、水景Aの後ろ姿を横目で追いながら、そっと耳元に手を添える。


ーーー感度良好。



水景Aの服の内側に付けた盗聴器から、安室さんと奴の話し声が聞こえる。


眼鏡のボタンを押せば、赤い光点が目の前に瞬く。


俺は水景Aがポアロを出て行ったのを確かめてから、十分な距離を置いてそっとスケボーで追いかける。



「あ」


休日で普段よりごった返している人混みに、ふと水景Aが紛れ込んだ。



ーーー尾行がバレたか?


いや、それはない。


何故なら奴と俺との距離は20メートルも離れている。

この距離から、この人の多さから、振り向きもせずに俺に気づくのはまずありえない。


俺は眼鏡のボタンを押して、奴に付けた発信機を探る。



「ーーーは?」



反応がない。


いつのまにか盗聴器からも、何も聞こえない。


まさか本当に、バレていた?


尾行だけでなく、発信機も、盗聴器すらも?



「っあー……。マジかよ。」



発信機も盗聴器も潰されたならもう追跡はできない。


俺は悔しさをため息にして吐き出しながら、眼鏡の追跡モードを終了した。


スケボーを持ち上げて毛利探偵事務所への道を歩きながら、水景Aのことを整理する。



まず。



一般人ではないことは確かだ。



あの男、俺と話している時も、水を飲んでいる時も、ナポリタンを夢中で食べている時も。


1ミリも隙がなかった。


常に周りを警戒していて、だがそれを全く表に出していない。


それは即ち、日常的に周りを警戒しなければならない状況に置かれていて、警戒するということにまるでまばたきをするように慣れているということ。


そして、あの怒気。


安室さんをも凍りつかせるほどの、強烈な殺気とも呼べるもの。


……一瞬、死を覚悟した。


それほどの威圧感。



ーーー奴らと関わりがあるのか?



嫌な汗が背中を滴り落ちる。


水景Aがもし黒ずくめの組織の一員なのだとしたら。


確かめるには灰原と会わせるって手もあるけど、流石に危険すぎる。


相談するのなら……。







「……あの人に頼るのが一番、か。」

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あごしわ - 常に周囲を警戒(サバゲー狂特有) 一ミリも隙がない(サバゲー狂特有) 強烈な殺気(サバゲー狂特有) (2020年1月3日 5時) (レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
NIL(プロフ) - 白桜さん» 続編移行、初めての時はよく分からないですよね。とても面白いと感じる作品なので、これからも頑張って下さい (2019年7月8日 0時) (レス) id: 6ea316f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
白桜(プロフ) - 続編登録いたしました、申し訳ありません。やり方がよく分からず……。拙い作品を読んでくださりありがとうございます。機械には若干相入れなさを感じます……。 (2019年7月8日 0時) (レス) id: 33d5312230 (このIDを非表示/違反報告)
NIL(プロフ) - 続編が登録されていないのか、2に移動できません。いつも楽しませてもらってます。更新頑張って下さい (2019年7月7日 23時) (レス) id: 6ea316f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
山姥拓海(プロフ) - 早く続きが見たいですね!更新頑張ってください (2019年7月6日 21時) (レス) id: e2c2af4155 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白桜 | 作成日時:2019年5月21日 19時

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