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それは、唐突に。
いつものように本を読み漁っていた時のこと。
______ふわり、と。
艶やかな黒い羽が軽やかにページの上に落ちてきて。
視線を上げれば、いつのまにか目の前に、随分と怪しげな格好をした男が、ニンマリと紫色の唇を歪めて立っていた。
『は……?』
あまりに突然の出来事に一瞬惚けるも、とりあえず俺はその男を観察する。
白シャツに黒い高級そうなベスト、黒いネクタイを締め、裏地は青のこれまた黒いマントを羽織っている。
肩にはふさふさと何枚もの羽がたなびき、黒いシルクハットに鉤爪のついた黒手袋、金の飾りがついた黒いステッキをその手に持っている。
なんか全体的に烏みたいだ。
そして、何よりもそいつの怪しさを増長させているのが、その顔に被った仮面。
そいつの顔半分を覆うその仮面は、鼻の部分が尖り、目の部分がポツポツと空いて、そこからそいつの瞳だろう黄色の輝きが漏れ出ている。
______え。何こいつ。
観察して改めて思った。え?何こいつ。
ばり不審者じゃん。
どうやってこいつを家から叩き出そうかと考えていたら、その、烏野郎が両手を嬉々として広げて言った。
「初めまして!ルシア・リュードリクス君。突然お家にお邪魔してしまってすみません。私ディア・クロウリーと申します。こう見えても私、ナイトレイブンカレッジの学園長をしている者なのですよ」
……ナイトレイブンカレッジ?
っていや、確か名門学校だよな、魔法士を育成する。
そこの学園長?……この不審者が?
……世も末だな。
遠い目をしている俺を気にせず、自称学園長のそいつはペラペラと一人語り始める。
「ナイトレイブンカレッジは名門です!故に、各国から才能のある子ども達が集められてくるのですが、たまには私自らスカウトしようかと思いまして、是非貴方をお誘いしたいなと」
スカウト?……俺がその学校に行くってことか?
『悪いけど自称学園長さん。俺はミドルスクールにも通ってない。あんたの自慢の学校には行けないぜ』
肩をすくめて苦笑いすれば、そいつはニンマリ笑顔を深くした。
「自称ではありませんが……まあいいでしょう。大丈夫ですよ、その辺は折り込み済みですので。貴方は少し特殊ですが、それでもスカウトするに相応しい魔力を持っている」
『………………』
「学園に来れば、今までの辛い生活もガラリと一変!楽しい学校生活が」
『______あのさ、何、お前』
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蒼(プロフ) - あばばばばばばば()ルシアくんをめでたい… (5月26日 22時) (レス) @page32 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 面白いです!ルシア君養ってあげたい。 (2022年12月18日 23時) (レス) id: 35aefc2ecc (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最近見ていなくて今気ずきました。期限が過ぎてしまっていますがヤンデレ最高なのでそのままがいいです! (2021年2月8日 22時) (レス) id: ea414cb9ae (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - リクエストなのですが、「呪いが作用するのはツイステの世界のみだった」ということで夢主ちゃんの世界へ二人でいき、幸せになるというifストーリーが読みたいです。お願いします! (2020年11月6日 0時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
白桜(プロフ) - でーたしょうじょさん» 常々やる気のでるコメントをありがとうございます。皆様私では思いつかないストーリーを考えてくださる笑面白そうなので是非書いてみたいと思います。 (2020年10月28日 8時) (レス) id: 33d5312230 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白桜 | 作成日時:2020年10月26日 20時