第13話 八年なんて ページ19
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私達は、あの日と同じように長い廊下を歩いていた。
だが、私にとっては全てが違う
低かった背は伸び、
若干声が低く、大人びた。
成長したのだ。
身も、心も
この、ポートマフィアで
『___でですね、師匠!』
「そうか。良かった、A」
そして、一番の違い。
___私は師匠に勝った
8年、8年の間、ずっと、ずっと負かされてきた、
師匠を……広津さんを。
『私もやっと16歳ですよ』
「早いな……八年と言うのも。それにしても、よく覚えていたものだ」
矢張りまだ、師匠のタメ口は慣れない。
だが、とても嬉しいと言う事に、変わりはなかった
『当たり前ですよ』
そう言えば、あの両親二人だが
…残念ながら、現在進行形で親バカだ。
あの元気だったお父さんの髪に、白髪が増えてきたらしい。
お母さんは笑っていた。
もうすっかり見慣れてしまったこの長い廊下。
ふと、何時もより機嫌の良い足音が聞こえた。
あ、……此の音は
『太宰』
「あれ? よく分かったねえ、A」
ひょこっと現れた太宰に、思わずへへっと笑ってしまう。なんだか最近は、小さい頃に戻ったみたいだ。
キョロキョロと辺りを見回すと、何が不自然だ。
と言うか、何か足りないような__
あ、中也だ。
『そう言えば中也は? 上級構成員、お祝いしてあげようと思ったのに。行成太宰と出張だなんて』
「嗚呼、あの蛞蝓? 出張先の海の中じゃない」
「て言うか、私が上級構成員になった時はお祝いしてくれなかったくせに! 中也と海に沈めるよ!」と言って、頬を膨らませる太宰。
太宰が言うと冗談に聞こえないからやめて?
本当に。
すると、可也遠くの方で足音が聞こえた
段々と……いや、凄いスピードで近づいてくる。
__誰だ?
「くぉら太宰! 手前又俺を置いて行こうとしやがって、これで何回目___って、Aと広津か」
気がつかなかった
……そうか、中也も上級構成員と呼ばれるだけあって、力がついたんだ。
最近、同じような戦法の中也を見ていると、自然と『負けたくない』と思うようになった。
16歳の男の子をライバル視__か。
なんだか複雑な気持ちだ。
だが、同時に中也は良い友達でもある。
だから、お祝いするのだ。
『久し振り、中也。昇格おめでとう!』
「おっ、おう有難な!」
にかっと笑う中也に、私もつられて少し笑ってしまった。
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怪盗MOON - (二回目コメ)え!?龍頭抗争時の描写の仕方どんだけ上手いんですか!?星つけときます!あああ!旧双黒が最高すぎるぜ!(済みません。) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - 24話より。怪「5000億円は澁澤さんの遺産さ〜♪」(あれ『太宰治の入社試験』の時の太宰さん口調!?) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 七海さん» コメント二つも!?有難うございます。コンタクトお揃いですね。嬉しいです…笑 1ヶ月間という長い間待ってくださって、本当にありがとうございました!!! (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 雪さん» 雪さん!!!返信物凄く遅れてしまい、申し訳ありませんでした!!本当に1ヶ月待って貰えるとは思えず、感激です。お気遣いありがとうございます。身に染みます……w (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 面白かったです!!続き待ってますね(*^▽^*) (2018年6月11日 21時) (レス) id: 497f6be280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海豚 | 作成日時:2018年5月4日 16時