. ページ38
side雅紀
.
.
ユリちゃんが入院して2週間。
明日、退院する事が決まった。
右手は、まだ完全に動かせるわけじゃないし
リハビリも必要だけど
少しずつ回復してくれて
嬉しかった。
それとは反対に。
俺が会いに行くたびに
ユリちゃんの笑顔は、どんどん哀しそうになっていくのが
辛かった。
ずっとそばにいて、支えたいけど。
守りたいけど。
俺がそばにいることで
ユリちゃんの笑顔が、少しずつ消えて行く。
バカな俺でも、すぐわかった。
「....ユリちゃん。」
「雅紀....お疲れ様。」
「うん....今日寒いね。
荷物だいたいまとまった？手伝う事ある？」
「大丈夫。
さっきAが来て、全部まとめてくれたから。」
いつものようにユリちゃんの病室に入って
綺麗に片付いたベッドサイドに腰を下ろして。
ユリちゃんに気づかれないように
小さく深呼吸する。
「ユリちゃん....俺、話があるんだ。」
少し痩せたユリちゃんの顔を見たら
これから俺が話す事を
全て理解したかのように
哀しそうな目で、俺を見ていた。
「辛いよね...俺といるの。」
ユリちゃんが泣かないように。
出来るだけ優しく声をかける。
「ちゃんと守ってあげられなくて、ごめん。
俺....弱くて。
もう思い出したくないと思うけど。
これだけは伝えたくて。
本当に、ごめん。」
ユリちゃんに頭を下げて
ゆっくり顔をあげたら
俺から視線を逸らしたユリちゃんの瞳から
大粒の涙が溢れた。
泣かせたくなんか、なかったのに。
ユリちゃんの涙は止まらなくて。
「俺.....もう...会いに来ないから。
終わりに....しよう....ね.....？」
心のどこかで
“イヤ”と言って欲しかった。
だけどユリちゃんは
何も言わずに、そっと瞳を閉じて
さらに深く俯いただけだった.....
「じゃぁ....俺、行くね。
今まで....ありがとう。」
椅子から立ち上がって、足早に病室を出る。
本当は、こんな事したくなかった。
今日だってずっと一緒にいたかったし
明日も明後日も会いたかった。
だけど
“雅紀”って俺を呼んで、笑ってくれるユリちゃんは
もういないんだ。
俺が、全部壊したんだ。
後から後から
涙が出てきて。
もう全然止められないから
ホントは禁止だけど
全力で走って病院を出た。
「ああ...本当に終わっちゃった。」
自分で引いた幕なのに
全然納得出来なくて。
家に帰る道のりで
バカみたいに、泣いた。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥(プロフ) - まみ公さん» お疲れ様ー！6回！読み逃げありがとうございます！！トラブルばっかりの2人だったので、合鍵疑惑晴らしてイチャコラして欲しいですよねっ( *´艸`) (2021年12月20日 5時) (
レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
まみ公(プロフ) - 遥さん、おわったよー！６回。またまたまた、読み逃げしました←もう、確信犯！笑。ユリちゃん、勇気を出せてよかった…安田くんのおかげ！でも、なんで合鍵持ってるんだろって、私も気になるところです…がっ！さあ、これから絶対イチャコラするよね？待ってまーす！ (2021年12月19日 19時) (レス) id: b826214e69 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - さくさん» コメンテーターありがとうございました！！主役がブルンブルンにエンジンふかして待ってるので早く描いてあげなきゃ！！でもこのずっとお預け状態が楽しくなってきてる作者ですww (2021年12月19日 8時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - はい！DSHコメンテーターです！ユリちゃん、まーくん、本当によかった！！！これからはいい事言ってた翔くんの番かな！？(笑)これからもコメンテーターしていきますよお！ (2021年12月17日 22時) (レス) @page50 id: 22b2ab4ca6 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - さくさん» 落ち着け！まずは深呼吸！危うくこの作品の主人公が誰だか忘れるところだったよ！ギリセーフ！カッコいい翔ちゃん出てきて良かった。アッチの方は翔くんのシャワーが長引いているようですwww (2021年12月11日 21時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遥
| 作成日時：2021年11月13日 22時
