. ページ32
side 安田
.
.
気づいた時には、遅かった。
俺の入り込む隙なんて、これっぽっちもなかったんだ。
後からめちゃくちゃ後悔した。
何で俺、その手を取らなかったんだろう...って。
だから
せめて最後に。
たとえ一瞬でも、俺の記憶を刻みたくて。
アイツの唇に、近づいたけど。
「......しないの？」
この至近距離で
全て見透かしたみたいにして俺を見るユリは
どこか冷めたような声で。
「しても...いいの？(笑)」
「別に、いいよ。減るもんじゃないし。」
そう言って、目を閉じた。
そんな事して
傷つくのは、お前なのに。
俺には、その弱い部分は
きっと一生見せてくれないんだろうな。
そう思うと
何をすることもできなくて
掴んだユリの手を、そっと離した。
「.....もっと早く....お前の可愛さに気づいてればよかったよ。」
「可愛さって....安田を想ってたアタシって
たいした魅力なかったんだね(笑)」
ユリは、そう言って強がりながらも
内心ホッとしてるんだって
何となくわかった。
「その魅力を引き出す力が、俺にはなかっただけだろ(笑)」
ユリの弱さや可愛らしさを
いとも簡単に引き出す男が、他にいた。
ただそれだけの事なのに。
「安田.....アタシ、マジでアンタの事好きだったよ。」
なんて。
最後の最後で、残酷な優しさなんか見せるから。
「俺は、今でもお前の事好きだよ(笑)」
最後の悪あがきに、ユリは......
.
.
なんで、マジで泣きそうな顔してんだよ。
「早く行けよ。これ以上ここにいたら
マジで襲うぞ(笑)」
「.....ありがとう。安田。」
最後の最後で。
ユリは、今までで1番可愛い顔をして
俺の前から去っていった。
あーあ。
“行くな”って言って抱きしめたら
ちょっとは可能性あったかな。
でも。
アイツが幸せそうに笑ってる顔が見れるなら
やっぱり俺は
黙って身を引くしかないんだろうな(笑)
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 544人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥(プロフ) - てるりんさん» 待ってて下さってありがとうございます´`*otonaの方もちまちま執筆中ですので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ぴぃさん» 待っててくださってありがとうございます！otona翔ちゃん...優しくできないとか言ってたけど....そんなカッコつけて彼女を骨抜きにできるほどのスキルはないと思われますwww空回りして失敗しないといいなぁ...と思いながらも、めいっぱいイチャコラさせてあげたいです´` (2021年8月2日 21時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 花菜さん» 翔くんの1番の敵は間違いなくユリちゃんですね！厄介と思いながらも彼女ちゃんの一番大事な友達だってわかってるから無下にもできない....取り扱いに困ってそうwやっぱりこの2人が大ゲンカして彼女とまーくんが仲裁に入る話書きたすぎます（笑） (2021年8月2日 21時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - さくさん» あーん！爆睡中もDSH読んでて下さったんですねー！！ありがたやありがたや。ラーメン食べずにアツーーーい夜を過ごすほど、翔くんにテクニックあるのかな？（笑）まだ2回目なのに優しくできない宣言して、きっと今頃後悔してるはずw (2021年8月2日 21時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - まみ公さん» おひさしぶりぶりぶりーふー！！翔くん嫉妬に狂ってラーメン食ってる場合じゃなかったらしいです( *´艸`)優しくできない！とか、いや普段からお前そんなに優しくねぇだろ！ってツッコミながらotona書いてる真っ最中ですw (2021年8月2日 21時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遥
| 作成日時：2021年2月13日 15時
