◆◇◆ D S H 5 ◆◇◆ 【S】

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side翔



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Aが泉谷の名前を出してきて
今日は照れ臭くて言えなかったことの数々について
尋問されるんだな。って理解した。


座ったまま、Aを後ろから抱きしめて。
ものすごく密着してるのに、顔が見えないこの状況なら
多分なんでも話せるとふんで。


昔、俺よりも早く成長期を迎えたAに
とてつもなくドキドキして。

1人だけ大人になっていくAを
避けるような事をしたのを思い出した。



腕の中のAは、素直に身を預けたまま


「.....どうして、すぐに弁解してくれなかったの？
泉谷さんと、キスしてないって.....」


ポツリと呟いた。




「弁解っていうか、お前が“した”と思ってたことすら知らなかったから.....悪かった。」



抱きしめた腕に、ギュッと力を入れ直すと
Aも、その腕にしがみつく力を強くした。




「.....そっか。
私、ステージの下で見てたから。
そう見えちゃってたの。ごめんね？」



「お前が謝ることじゃねぇし。」




Aのふわふわの髪に
気づかれないようにそっとキスをして。


その髪が揺れると、いつものシャンプーの香りが広がって。
誰よりも近いこの距離に、安心感を覚えた。



「....泉谷さんと“キスしてない”って事がわかって
ちょっとホッとした。」


Aが、穏やかな声で言うから
それにもまた安心して。


「お前以外とは、絶対しねぇし。この先もずっと。」


必死にAが安心しそうな言葉を考えて
言ってはみるけど
いつも言い慣れてないから
これでいいのかって不安になる。


腕の中のAが、モゾモゾと動き出して
ゆっくりとこっちに顔を向けて。


すげぇ近距離で目が合って。
心臓の音が聞こえてしまいそうなくらいバクバクする。


うるうると瞳を揺らして
何かを訴えるように

Aは俺をじっと見ていて。

それに吸い寄せられるように
顔を近づけようとしても


“拒まれたら？”




そんな不安がよぎって

Aを腕に抱きしめてるのに
その腕を寄せれば、唇が触れ合うのに

俺は、それが出来ないでいた。





Aが、ゆっくりと
瞬きを一つして。

急に不安そうな顔をしながら





「.....キス、してくれる？」



掠れた声で言ったのが、たまらなく可愛いくて。

それに吸い寄せられるようにして


久しぶりに、触れるだけのキスをした。





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