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素晴らしく最低なこの世界.4 ページ4

 
 
 
「……どこだ……………」


目が覚めると、俺は知らない所にいた…
微かに覚えてるのはここが誰かの家で、俺はその人に拾われた事。

誰だっけ…名前は確か………

なかはら……ちゅうや?
すんごく目つきが悪かったよーな…


……そうだ、親父!!
早く帰らねぇと親父が…
でも、勝手に出てったら…

なんか、腕の治療もしてくれたし………
せめて、礼くらい……


と、俺が迷っていた瞬間、扉が開かれた…
顔を出したのは、俺を拾ってくれたという、
なかはらちゅうやだった…


「起きたか……」


「ぁ……アンタ……!」


「中原中也、だ。」


「えっと、なかはら…………さん……」


ヤベぇ、「さん」付けねぇと睨まれた。
この人ヤッベェ、やっぱめっちゃ目付き悪ぃし…
タダ者じゃねぇな。


「なんだ」


「あの……拾ってくれてありがとう……
腕も、こんな………治療もしてくれたし…
その…でも、俺、そろそろ家帰んないと……」


「………」


「たぶん、親父が…待ってるから………」


待ってる。なんて嘘だ。
でも、酔いが覚めれば、あの人はまた死のうとする。

中途半端に死のうとすると、また別で金が掛かるし、さっさと帰って酒を買わなきゃ。


「ちゃんとした礼とか、出来る余裕は俺ん家にねぇけど…
いつかちゃんと礼はするから…」


「……急いで帰んなきゃイケネェんだろ…。
帰り道はわかんのか?」


「多分、大丈夫、です。」


「なら、これ着てけ。」


そう言って、なかはらさんは俺に暖かそうなコートを投げてきた…
少し色褪せた感じはあるが、本来の機能としてはまだまだ使えそうなコートだった…


「まだ雪が降ってる。
お前のその恰好じゃ、また凍えて倒れるぞ。
俺のお古だが、まだまだ使えるだろ。」


「でも……」


「いいから、気にすんな。」


「……ありがとう…ございます…!」


頭を下げると、優しく撫でられた…
触れられるのが少し怖かった。

もう…何年も……
人に触れるのは喧嘩の時以外なかったから……



 



鼻が少し痛くなって涙が滲んだ…

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優乃(プロフ) - お父さん最後の最後にとてもいい人で涙してしまいました…とっても好きですこの作品 (2017年3月14日 2時) (レス) id: 125a7385c7 (このIDを非表示/違反報告)
夜深 - すごい感動できる作品ですね! 続編のことまってます! (2016年8月15日 14時) (レス) id: ced2c79383 (このIDを非表示/違反報告)
黒闇(プロフ) - 素晴らしい作品です!是非、続編お願いします! (2016年6月27日 22時) (レス) id: 55dddb2e65 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編楽しみにしています!! (2016年6月26日 17時) (レス) id: 236ae9874e (このIDを非表示/違反報告)
朱白雪(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編期待してます!! (2016年6月25日 14時) (レス) id: 78c8136147 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いないな | 作成日時:2016年5月21日 14時

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