らくだい魔女 〜貴方への変わらない愛を〜

〜変えてくれたのは…君だよ〜 ページ9

カイ心情

僕は今まで、カリンのことしか見えてなかった
いや、見えてないふりをしてたのかもしれない。
僕の中で特別な存在はカリンだけ…だった。
あの出来事までは…

『フウカ！フウカはどうするんだ！』
『私はどうなってもいいわ！…カリンを守って！』

『カ…イ…王女からの…命令よ…カリンを…頼みます…』
『フウカ…様の仰せのとおりに。』

綺麗に輝いていたフウカに…惚れた。
強く美しい完璧な存在…その全てを…
初めて。欲しいと感じた。
今までそんなこと無かったのに…

屋上で見えていたのは、やっぱりあのちーくんだった…
青かった髪も黒く染まって…呪いにかけられて…
それに立ち向かっていたフウカを見て、思わず屋上に駆け出したんだ
君の役に立ちたかったから…
君と一緒にいたかったから…
君にただただ惹かれたから…
でも…出来ることなんてなかったんだ…
勇気しか、持ってなかったから。

だけど…
僕は必死にもがくよ
君の立っている地に届くまで
そして…君の心を奪うから。

だけど…ちーくんにはかなわないかもしれないな…
きっと僕だったら、フウカの悩みなんて分からなかっただろうから。

僕は今、フウカから受け取った銀の細く長い糸を巻き付けている

『右の薬指に巻いて！そして私をたどって！カリンの毒を解くには私の血が必要よ！』

フウカは右の薬指に、と言っていたけど、僕はそれを破った。
左の薬指に付けたって、フウカは怒らないよね…
フウカと僕を繋いでいる唯一のこの糸は想いも届けてくれるんじゃないかと思った
いや、そう信じていた。
あぁ…君に届いていますか？
僕の伝えたかった想いが。
僕は上を向いて、もうフウカ達が居なくなった空を見上げていた

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