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「その感じだと、彼氏は居そうだね」
『え!』
「ふふ、分かりやすい」
麦ちゃんは綺麗な手でグラスを持つ。やっぱり私、分かりやすいんだ。
「なんか訳ありなの?」
『…そういう訳じゃないんだけど』
「不倫とかしてないでしょーね」
『違うよ!』
「ならいいけど」
これ美味しいーって呑気に食べる麦ちゃん。
不倫じゃないけど、公に言えるような恋愛をしているわけでもない。友達にも宏光と付き合った事は言えてなくて、それが思ったより自分の首を絞めてるなって今更感じる。
一般人と芸能人の壁を気にしている宏光をどこか遠い目で見ていたけど、結婚に進めないのは出産がある女性にとっては大きな問題になる。やっぱり今更だけど、この壁は思ったより高い。
仕方ないけど、友人の妊娠を目の当たりにすると少しだけ気持ちが沈んだ。
「何ぼーっとしてんの」
『…ううん、何でもない』
「…そ。ま、いつか呼んでね。Aの結婚式」
『…がんばる』
ちょっとお酒取ってくるね、と席を外した麦ちゃん。
せっかくの同窓会なのにしんみりしちゃったな、って空になったグラスを見つめる。少し度数の高いお酒飲もうかな、でも酔っ払うと宏光に怒られるしなーって少し葛藤する。
俯く私の上に落ちる影。麦ちゃん?って顔を上げれば、全く違う…男性が。
『えっと…』
「やっぱり忘れちゃった?」
『…もしかして豆田くん?』
「そうだよ!久しぶりだねAちゃん」
目の横にあるホクロが特徴的だった豆田くん。中学に上がる時、どこかに引っ越したんじゃなかったっけ。…確か、岩手とか。まさか会えるなんて。
昔は家が近所でよく遊んでいた。ホクロで思い出したとは言えないけど、相変わらず綺麗な顔立ちをしている。
『あれ、引っ越してたよね?』
「そう宮城にね」
『そっか、宮城か。今は都内に居るの?』
「そう。転勤族の血は抗えなかったけど、ここ2、3年は都内で落ち着いてるよ」
隣失礼するね、ってさっきまで麦ちゃんが座ってた席に腰を下ろした豆田くん。
「最初Aちゃんだと思わなかったよ、綺麗過ぎて」
『…それ褒めてるの?』
「もちろん。公園で一緒に泥団子作ってた子には見えなくてさ」
『懐かしいね、あおば公園でよく遊んでた』
「麦ちゃんに、Aちゃんが汚れるからやめて!って何度怒られたことか」
『ふふ、確かに怒ってた』
「怒ってて悪かったわね」
『あ、麦ちゃん』
私の分のお酒も持って来てくれた麦ちゃん。
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ちび - でもいつかね。幸せになって欲しいですわ⚪︎♡ (2023年2月16日 15時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ちび - めっちゃ良かったです、永遠なんて無いだから時間を大切にしようと思うんです、アイドルだって1人の人間ですもんね。何もしてやれないし、なヤキモキしてるミツめっちゃ可愛い買ったです。今はね、もう少しアイドルでいて欲しいな思いますね。。 (2023年2月16日 15時) (レス) @page39 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2022年1月25日 23時