でも俺に出来ることは ページ25
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「A!」
『宏光お疲れ様』
「ファンサしたのに無視すんなよ!」
「え?俺が手振ったら振り返えしてくれたけど」
「は!なんでだよ!」
横を通った藤ヶ谷がぼそっと言う。くそ!Aは絶対面白がってるな!
ライブ終わりに絶対に連れて来て(実際は連れて来いって言った)ってスタッフに言ってたからか、思ったよりすんなり来たA。と鈴木。
てゆうかこの余裕そうな鈴木の態度。おまけに高身長。顔もまあかっこいい。きっと俺が勝手に敵対心を抱いてる事も分かってて、この表情だ。若いくせに、肝が座っている。
Aに手を出す様子は無いけど、周りの目を気にせずにAの隣に居れるのが羨ましかった。
一般人ならライブだって隣で見れる。会場に一緒に来ることも出来て、帰ることだって。さっきA達がマネに声をかけて席に案内される後ろ姿は、見るに耐えなかった。俺は楽屋でしか…一緒に居れない。
くっそ…
別にこの仕事が嫌なわけじゃ無い。むしろ大好きだし、誇りだって持ってる。…けどたまに、苦しくなるんだよ。
でもだからこそ。
鈴木にはお願いしとかないといけない。
「A」
『ん?』
「ちょいと鈴木くん借りていい?」
『え…いいけど』
「わり、鈴木くんちょっと来て」
「はーい」
呼ばれる事を何とも思ってない表情で着いてくる鈴木。ただの俺の嫉妬でイラつくって…大人気ねーわ。
隣の空き部屋に入り、ごめんなって謝る。
大丈夫です、どうしました?って平然と返す鈴木。
「あのさ」
「はい」
「…Aの事、頼むわ」
「…はい?」
さっきまでと変わり、鈴木は気の抜けた返答をする。
「…Aさ、鈴木くんの方が知ってると思うけど、仕事ってなると結構無理するじゃん?」
「まあ、はい」
「それでさ、この間も熱出したわけ」
「……」
「俺と会ってからでさえ、2回目なのよ」
そうですねって鈴木は何か考えるように少し俯く。
「しかも俺が言っても聞かない。Aの仕事の事は全然分からないし、繁忙期だって終わってから言うのよ」
「……」
「だからさ、鈴木くんがさ…あーまじでこんな事頼むのもアレだけど!…鈴木くんが止めてやってくれねーかな」
俺が言うより、鈴木くんが言う方が聞くからあいつって言うと、はいって。
「全然良いですよ。僕Aさんの事尊敬してますし、直属の部下じゃなくなったんですけど、そのくらい容易いです」
でも意外ですねって鈴木が言う。
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ちび - でもいつかね。幸せになって欲しいですわ⚪︎♡ (2023年2月16日 15時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ちび - めっちゃ良かったです、永遠なんて無いだから時間を大切にしようと思うんです、アイドルだって1人の人間ですもんね。何もしてやれないし、なヤキモキしてるミツめっちゃ可愛い買ったです。今はね、もう少しアイドルでいて欲しいな思いますね。。 (2023年2月16日 15時) (レス) @page39 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2022年1月25日 23時