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「Aさん、デザイン案ください」
「ふうか!何てこと言うの!」
「林田さん、この仕事辞めたいんですか?」
「…ふうか。人が大切に書いた子供達を、横から奪うような事はデザイナーとして絶対にしてはダメよ。Aちゃんがどれだけ頑張って『林田さん!』
絶対に嫌だ。渡したくない。
私が想いを込めて作った衣装を取られるなんて、絶対にしたくない。
ましてやこんな子に。
『…林田さん。大丈夫です。最初から、ふうかちゃんのデザインとして出すって…決まってたから』
「でも」
『大丈夫です』
だって、宏光がふうかちゃんに怒ったら、事務所から潰されちゃうかもしれない。玉森くんが頑張って隠したのに、私のせいで意味がなくなっちゃうかもしれない。林田さんが怒ったら、仕事無くなっちゃうかもしれない。
私が我慢すれば丸く収まることなら、我慢する以外の選択肢は無い。…これは私だけの問題じゃない。
藤ヶ谷さんが手伝ってくれた衣装が、私が想いを込めて作った衣装が…彼女の手に渡るなんて考えたくも無いけど。仕方の無い事は、もう………諦めるしか無い。
『…これ』
「Aさん生意気だけど、話の分かる人で良かったです」
「Aちゃん…」
私の手から勢い良くファイルを取ったふうかちゃん。
私の1週間の想いと努力は、いとも簡単にふうかちゃんの想いと努力に代わった。
『…じゃあ私はこれで』
「あ、せっかくだし、Aさんも衣装チェック付き合って下さいよ!分からないところあったら、Aさんに手伝って貰ったって説明する方が楽だし!」
「ちょっと、ふうか!いい加減に『林田さん!』
今にも怒鳴りそうな林田さんを止める。
思ったより冷静な私は、いいよ、と返事をした。
喪失感か、絶望か。
悲しむ暇もなく、リハーサル室に入る。
入る直前に、Aさんが制作した事バラしたら知りませんよ、なんて私達に圧をかけたふうかちゃん。…ちゃんと林田さん、止めなきゃ。
「皆さん!お疲れ様です!」
ふうかちゃんの声に、顔を上げた皆さん。あ、Aちゃんと林田さん居るじゃん!って二階堂さんが言った。
そういえば、宏光と会うの1週間ぶりだ。でも今は心に余裕が無くて、そんな事を考えてる暇も無い。
とにかくこの話を知っている、玉森くんと藤ヶ谷さん、林田さんが何も言わないように止めなきゃ。
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ふうかちゃんがクズ過ぎて、ごめんなさい。書いてて嫌な気持ちになります本当!!(自分のせい)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時