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藤ヶ谷さんの言葉で号泣出来るほど弱っていた私は、ホットミルクを頂いたのに涙が止まらなかった。

数分後、落ち着いた?って声をかけてくれる藤ヶ谷さん。優しさと、温かさで胸が一杯になった。



『…すみません、こんな歳にもなって号泣だなんて』
「ふふ、泣ける元気があっただけ良かったんじゃないかな。無理矢理押しかけて良かったよ」


微笑む藤ヶ谷さんは、太陽に照らされて更に輝いて見える。…神様だ。

マグカップをテーブルの上に置くと、疲れてるだろうけど少しだけデザイン制作しよっか、と床に腰を下ろした。


私が没にした案を1枚ずつ振り返って、どうして没にしたのか、曖昧な理由なら更に深掘りもした。逆に気に入ってる部分はどこか、次のデザイン案に活かせそうなのはどれか、丁寧に話し合った。

振り返りなんて、こんな当たり前なことを疎かにする程、焦ってた自分が嫌になる。基本を蔑ろにするな、なんて部下によく言ってるのに。


「ま、ざっとこんなもんか」
『やり易くなりました…ありがとうございます』


改善点やらを紙に纏め、約1時間の話し合いは終わった。朝から仕事が大幅に進んだ気がする。


「やっぱりAさんは、デザイン制作向いてるね」
『…いやいや、そんな。本当は1度諦めた道なんです…だからどうしても自信が持てなくて』
「でもどれも、俺らのこと考えてくれてるなって伝わるよ。デザイナーさんって、本当にそれぞれなんだよ。自分が作りたい衣装を書く人も居れば、俺らに着せたい衣装を書く人も居る」


藤ヶ谷さんは、テーブルに散らばった紙を集める。


「でもAさんの衣装は、俺らの為に魅力を最大限引き出そうと書いてくれてるのが伝わってくるよ」
『…ご本人に想いが伝わってるなんて、制作した者として、これほど幸せなこと』


また涙がこぼれ落ちそうだった。

向いてないと諦めた道が、こんな形で報われるなんて。私の想いが、伝わっていたなんて。


『この話を持ってきてくれた玉森くんには、沢山感謝しないと…』
「…あー、そっか。玉が持ってきたと思ってるのか」
『え?玉森くんじゃないんですか?』


途端に歯切れが悪くなる藤ヶ谷さん。んーって少し悩み始めた。

玉森くんじゃないなら誰?私がデザイナー志望だったなんて、ごく一部の人しか知らないのに。


まあいっか、なんて少し軽めの声を出した藤ヶ谷さん。







「Aちゃんをデザイナーとして推薦したの、北山だよ」




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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時

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