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期限まで残り3日。
制作が終わった衣装は2着。残りも2着。
最低でも1着の制作に丸2日かかる私が、4日間で2着作ったのは最速に当たる。でもそのペースでは間に合わない事は、最初から分かりきっていた。まあだからって出来るわけでもないのが、私だけど。
残り3日という期日に焦り、昨日から一睡も出来ていない。寝ないと頭は回らないし、逆効果なんて事も承知の上。でも眠れない。目を閉じると考えてしまって睡眠どころではない。
『うーーー……思い付かない』
家に篭って、ひたすら書いてる。曲を聴いて、考えて、書いて、没にして…何回繰り返したんだろう。
テーブルにべたーっと伸びて、頬を付ける。
前回は宏光が来てくれて、意見出してくれたっけ。詰まってても、書き続けろってアドバイスくれたっけ。俺が飽きたから飯作ってって、休憩させてくれたっけ。
自然と涙が溜まる。
……書けないからって、私弱り過ぎだ。
弁明させろ！って叫んでた宏光見て、ちょっと期待して…こんな時に思い出す程、また振り回されてるじゃない。辞めた辞めた。あんな奴、思い出すだけ無駄だ。
はあ…っと深いため息をついて、んーっと伸びた。
藤ヶ谷さんが、頼って良いよと言ってくれたけど、頼れないのが正直なところ。あー進まない。
チュンチュン鳴く鳥の声が聞こえてきて、やっぱり寝ようかな、なんて立ち上がる。
ピーンポーン
チャイムが聞こえた。
こんな朝から…宅配かな、なんて目を擦りながらノソノソ向かう。
『…え』
「おはよう、Aさん。朝からごめんね」
『ふ、じがやさん』
そうだよ？って笑う藤ヶ谷さん。エントランスはどうやって入って来たんだ…ってそれどころじゃない。
なんでこんなキラキラした藤ヶ谷さんが、私の家に。
「Aさんが連絡しないから、心配になって来ちゃった」
『来ちゃったって…何で住所』
「北山から玉、玉から俺って聞いちゃった」
ごめんねってまた謝る藤ヶ谷さん。朝7時なのに、何でこんなに爽やかなんだろう。
「Aさんは…寝起き？」
『いや…徹夜です………』
「え？寝てないの？」
『…あはは』
あはは、じゃないでしょ、って私の頭をポンっと触る藤ヶ谷さん。お家お邪魔するよ、って私の返事を聞く前に、靴を脱いで入って行く。藤ヶ谷さんって思ったより強引だよな…なんてぼんやり思う。
って！ああどうしよう！部屋が汚い！！
走って追いかけると、デザイン案を眺める藤ヶ谷さん。
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作者名：ナナシ | 作成日時：2021年12月16日 17時
