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「それにAな!この間は勝手に逃げやがって。あの時帰したけど、やっぱ追い掛ければ良かったわ。何だよ最後のさようなら、北山さんって!俺めちゃくちゃ傷付いたからな!」
『…うるさいです』
「はあ?弁解もさせてくれねーのかよ。電話も繋がらねーし」
「そうなの?さっき連絡先交換したけど、大丈夫だった?」
「はあ!?」
『大丈夫です。とりあえず今はお仕事用の携帯で、連絡取りますね』


仕事用だあ?知らねーぞそんなの!って怒る。


「それに藤ヶ谷と態々交換する必要ねーだろ」
「連絡取る必要出来たから。ね?A」
「なんだそれ。てか、おい!呼び捨てたな!」
「北山がまた、遮っただけでしょ?」


いや、今のは故意的だ!と睨む。この2人って思ったより仲がいい。


「とにかくA。連絡くらい取らせろ」
『…では仕事用の連絡先を』
「ふざけてんのか」
『大真面目ですが』
「はあ、ったく頑固だな」
『…うるさい』
「それにな菜穂の話だって、弁解させろって」


藤ヶ谷さんが…菜穂か。なるほどね、と呟く。藤ヶ谷さんも知ってる方なんだ。


『…弁解も何も、私は浮気相手にはなりません』
「だーかーら!」
「あ、北山さん!それに藤ヶ谷さん!ここに居たんですね!」


俺は、って話出そうとした宏光の声を遮って入ってきたのは、ふうかちゃん。私が見えてないような態度で、2人の元に走る。初対面なのに嫌われてる気しかしない。気のせいだろうか。


2人の顔は見えなかったけど、宏光は露骨にため息をついた。



「…A、まじで話させてよ」
『……』
「…けち」


ふうか、どうした?と営業スマイルを出す宏光は、私の元から少し離れた。藤ヶ谷さんは返事をしなかった私を見て、困ったなって呟く。


「皆さんお2人を探してましたよ〜少し合わせるみたいです!」
「そっか、さんきゅ」
「ふふ、いえいえ!」


嬉しそうに笑うふうかちゃん。
その仕事はマネージャーさんのものでは…?


「あ、Aさん。Aさんは私にデザイン少し教えてくれませんか?」
『え?』
「Aさんのデザイン見てみたいなって思って!」


笑ってない目で、私を見る。ここに残って教えてくださいよー!って微笑む。確かに可愛い子だけど、仕事をちゃんとやらない子は嫌いだ。

でも皆の事務所問題がある以上、私も下手に動く事は出来ない。私で良ければ宜しくね、と席を立ってふうかちゃんに微笑むと、藤ヶ谷さんが流石だねと私にしか聞こえない声で呟いた。



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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時

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