37 ページ37
.
「Aさんの負担多くない?」
『…でも今週は年度変わりでお休みなんです。だから丁度良かったかなって』
「…優し過ぎるな」
藤ヶ谷さんはちょっと苦笑い。
断れないだけで優しくないですよ、と言いかけて止める。
「手伝ってあげたいけど、俺デザインなんてほぼした事ないしな…」
『いやいや、お気持ちだけで嬉しいです』
「…事務所のせいでごめんね」
『藤ヶ谷さんは何も悪くないです』
頭を振る。藤ヶ谷さんは少し落ち込んだように、眉を下げた。本当に何も悪くないのに。
「1週間、何かあったら言って。出来るだけ助けてあげたいな」
『…本当ですか?』
「本当だよ」
これ連絡先、っと携帯画面を見せられる。追加していいってことかな?
「…あれ、追加してくれない?」
『いや本当に良いのかなって思って』
「本当だよ、って言ったでしょ」
ほら携帯貸して、と勝手に追加してくれた。出来るだけ手助けするから、いつでも連絡して?と少し首を傾げる藤ヶ谷さん。…あざとい。
『…前回まで、き…たやまさんに色々意見貰ってたんです。今回は藤ヶ谷さんに聞いてもいいですか?』
「あはは、もちろん。何があったかは聞かない方がいい感じかな?」
『…別に何もないです』
「ふふ、そっか」
面白そうに笑う藤ヶ谷さん。なんか意地悪。
「でもほら、Aちゃんは北山の事好きなんでしょ?なら、北山に聞いた方が良いんじゃない?」
『え?』
「ん?」
『…え?』
「ふふ、俺間違った事言ったかな」
聞かない方がいい感じかな?の流れ、忘れたんですか?って聞きたい。…好きな事がバレるほど、私って分かりやすいの?
『…すき、ですけど、もう辞めました』
「やめた?」
『はい…もう好きじゃないです』
「…それは、どうして?」
藤ヶ谷さんはちょっと困った顔をした。当たり前だ。何も関係ない藤ヶ谷さんに何言ってるんだ。
それでもポツリと話してしまう。…聞いて欲しかったのかもしれない。
『…宏光、彼女が居たんです』
「え?彼女?」
『綺麗な方でした、とっても』
こんなこと言って、卑屈な女だって思われたかもしれない。卑屈で可愛げがなくて…結局面倒な女なんだ。
私の話を聞いた藤ヶ谷さんは、んーってどこか悩んでる様子だった。
北山がそんなことしないよ、って言いたいのかもしれない。私だってそう思ってる。…でも否定はしてくれなかった。それは正解だと、言ってるようなもん、だ。
.
389人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時