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「こんな問題、Aちゃん巻き込むべきじゃないのは分かってる。でもわったーはともかく、ミツは最近特にイライラしてるから…Aちゃん、巻き込んでごめんね」
『…乗りかかった船………』
「…沈没寸前でごめん」
『私が救うしかないのか…』
はーっと机に頬を付ける。玉森くんもごめんーって頬をつけた。…ちょっとした問題?大問題だ。
それに宏光が最近イライラしてるなんて…何も知らなかった。1ヶ月前まで、お互いの近況報告沢山してたのに。
「ちなみに後4着デザイン制作しないといけなくて、しかも期限が1週間」
『…問題山積み過ぎて、もう何も驚けないよ私』
「…ほんとごめんね。デザイン案出来たら、前の専属デザイナーさんに見せて。俺だと細かい訂正出来ないからさ」
これ連絡先、と渡された。玉森くんも色々板挟みで大変だよね。…仕方ない。
でもデザイナーじゃない私に、1週間で4つのデザイン制作しろって鬼!悪魔!閻魔大王!あー…ほんっと、あり得ない!早くて1つのデザイン制作に丸2日掛かる。早くて、ね!
…これは1週間寝れないぞ。運良く年度変わりで、仕事が休みなのが救いだ。いや救いか?まあ予定なんてないから、いいですけど!
はあってため息をつくと、玉森くんが眉を下げた。
「…さっそく、作る?」
『…やるよ』
「じゃあ…俺はリハしてくるね」
『…ん、頑張って』
走っていく玉森くんを尻目に、鞄からノートと鉛筆を出して準備する。この大問題を作り出した張本人は、皆さんすごーいって拍手してる。…ああ、皆さん明らかに苦笑い。可哀想に。
とりあえず少し思い付いた案を殴り書きする。
うわ!ターン綺麗ですね!
えーバク転凄い!
皆さんかっこいい!
………ふう。無理だ。書けるもんも書けないわ!
トーンの高い声で、嬉しそうに褒めちぎる声。さっきから私のことチラチラ見てくるし。羨ましいでしょ?って顔ですかねそれは?
…羨ましいよ、私だって……宏光のダンス見たい。それに今頃…家でビール飲んでるはずだったのに!あー、考えただけでイライラする。
ダメだ、部屋変えてもらおう。
玉森くんに言おうとしたけど、宮田さん達と話していたから、マネージャーさんに声をかけた。普通集中出来ませんよね、すみませんって何だかふうかちゃんに対する棘があったけど、気にしない。
皆さんに声を掛けず部屋を出たけど、宏光と一瞬目が合ってしまった。咄嗟に逸らす。
きっと逸らしたのは、お互いだろう。
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時