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『玉森さんとお仕事出来るんですね。光栄です』
「あはは、敬語」
動揺を隠しながら、少し微笑む。
敬語にクスクス笑われるけど、気にしない。
「マネと衣装さん！少し席外してもらえる？この子は大丈夫だから」
「分かりましたよ」
大丈夫だからってなんだ。
マネ、衣装さんと呼ばれた2人は立ち上がって、私に軽く会釈をする。私も慌てて頭を下げると、微笑まれてそのまま部屋を出て行った。少しだけ感じが悪かった。
ふと玉森くんの横の男性に目を向ける。
彼もどっかで見たことある顔だ。…誰だっけ。
「よし、Aちゃん。少しお話しよう〜」
『…はい』
「え、まだ敬語取れないの？ミツが居るから？」
ミツ、と呼ばれた彼は、こんにちはっと私に挨拶をした。…ミツ。
『だって仕事だし』
「でももう俺らしか居ないよ？」
いや隣にミツって人居るからね！と叫びたくなる。玉森くんは昔から少し適当な所が変わってない。
「あ、ミツの事知らないんだ」
「ははっ、やっぱり知らないか」
『えっと…』
「はじ、めまして。玉森と同じグループで活動している北山宏光です」
彼は立ち上がってにっこり笑った。
玉森くんと同じグループ…だから顔見たことある気がしたんだ。
ジャニーズは勿論知ってるし、普段テレビを見ない訳でもない。でも……うん。…仮にも同級生のメンバーなんだから、把握はしとくべきだった。失礼な事してしまった。
『存じておりませんでした。申し訳ございません』
「あれ、まだ堅いな」
「Aちゃん！同じグループなんだから、もう俺みたいに接して良いんだよ！」
「なんかそれもそれで暴論だけどな」
北山さんはクスッと笑った。可愛らしいお顔をしている。
『…玉森くん、何でそんな崩そうとするの！』
「これから長く仕事していくなら、そっちの方が楽じゃない？」
『…長く？』
私が小声で玉森くんに話しかけたけど、玉森くんの声量は落ちなかった。
「まあとりあえず今回の依頼なんだけど、俺らの衣装の生地とデザイン、協力して欲しいんだよね」
『生地はともかく、デザインは専門の方がさっき居ましたよね？それに私の会社は布製品専門ですよ』
「もちろん会社を通してAちゃんにお願いしてるんだけど、デザインはAちゃん個人に依頼だよ」
『…はい？』
隣に座る北山さんは、少し不安そうな顔をしている。
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作者名：ナナシ | 作成日時：2021年12月16日 17時
