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「そうだな、悪い奴は居ないよ」
『でしょ?素敵な人たちだよね』
「ふふ、ああ」
宏光から伝わるメンバー愛。デザインの相談した時も、ニカは、宮田は、玉は、ってそれぞれメンバーの細かい特徴を教えてくれて、それをまた嬉しそうに話すもんだから、温かい気持ちになる。
宏光のそんな所も、私は尊敬する。
「ま、確かにな、良い奴らだけど。でもな!藤ヶ谷を好きになるんじゃねーぞ?」
『あはは、ならないよ。良い人だし、綺麗な顔してるなあ、って思ったけど、それだけじゃ好きになれないよ』
「はー?十分揃ってるじゃん」
『私ね……相手から理解してもらわないと、好きにならないって決めてるの』
「…どゆこと?」
『相手が私の事を知って、理解してくれて、違う意見を持っててもそこを含めて愛してくれないと、無理だと思う』
「そんなの当たり前だろ?」
『当たり前なんだけどね、これって意外と難しいんだよ』
Aって、面倒だよね
元彼の声と言葉が頭に響く。胸がギューっと締め付けられる。
きっとこんなこと言い出すのも、面倒な女の典型だと思う。元彼に貼られたレッテルが私を呪縛する。
「難しいかもしれねーけど、乗り越えないと未来ないだろ」
『乗り越えてくれる人に、出会えてないだけだといいけど』
「悲観的すぎ。そんな人沢山居るよ」
『……そ、うかな』
…宏光は、乗り越えてくれる?…なーんて。
言わないけど。
面倒な女のレッテルは、まず人との対話を縛るようになった。今の発言大丈夫かな、おかしくないかな、って、あの日から気にしながら生きてきた。
宏光と出会って、最近気にしてなかったな、なんてふと思う。……気をつけなきゃ。
「…また、過去の人?」
『え?』
「また過去の人がAを苦しめてるの?」
私の方に体を向けた宏光は、瞳を揺らす。
「Aの元彼…どんだけ存在感大きいんだよ。もしかしてまだ好きとか…ないよな?」
『いやそれは…流石にないよ。でも大きかったかもね』
3年付き合った彼は、かっこよくて優しくて。自慢の彼氏だったと思う。好きだった。大好きだった。結婚だって考えてた。私だけ、だけど。
別れた原因は彼の浮気だった。そりゃ才色兼備、モテないはずがない。でも私は…離れられなかった。ただやっぱり浮気をした彼を許せなくて。そんな葛藤をする私を見て、言ったんだよ。
前から思ってたけど、Aって面倒臭いよね、
って。
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時