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「なるほどねー…だからジャニーズだ!わーい!って騒がないんだ」
『馬鹿っぽい…』
「馬鹿っぽいけど、そんな女が殆どだよっていう俺の偏見ね」
『私そんな女じゃない…』
「知ってるよ。Aはそんな人じゃない」
『…私も知ってる、宏光はクズな人じゃない』
そっか、って笑った。なんか心が温かい。
「ま、話戻すけど、ジャニーズだからイケメンだからって偏見は良くねーな」
『うん…ごめん』
「あはは、さっきは怒ったと思ったら、今度は悲しんでる」
『反省してる。宏光みたいな人居るのにね』
「わっかんねーぞ?」
へ?って横を向くと、近くに居た宏光が私の腕を掴んだ。そのまま床に押し倒される。さっきまで楽しく笑ってたのに。雰囲気が全然違う。
指先が触れ合う。
時間が一瞬、止まった気がした。
「ふふ、Aがやけに俺に安心してるから」
『だって宏光はジャニーズだし、真面目だし、』
まだ偏見消えてねーじゃんってクスッと笑う。笑い方もさっきと違う。なになに、なんで!
「俺がジャニーズだからっていうだけで、あ、あと真面目、ってのも?まあそれだけで、ここまで危機感ないの?普通、男の家に来たらこうなると思わない?」
『いやでも、』
「A慌ててる、可愛い」
私の上で微笑む宏光。
心臓がどっくんどっくん、大きく動く。
「なーんてね」
『わ!』
「俺に安心してる感じムカついて、意地悪しちゃった」
体を起こした宏光は、私の腕を引っ張って一緒に起こす。
……っとに、ビックリした。
「あれ?顔真っ赤」
『…急にこんなことするから、』
「んは、ごめんね?」
なんともないように笑って、宏光はビール取ってこよって席を立った。私だけドキドキしてんの…これだから!!
『やっぱりジャニーズはクズだ!』
「わ、なんか色んな偏見混ざってる」
『宏光を代表としてクズ!』
「えー酷い!俺真面目なんでしょ?」
『いーえ!クズです!』
えーー納得いかなーい、って新しいビールを開けながら言う。雰囲気は今まで通りに戻っていた。
結局宏光の家のビールを全て2人で飲んでしまい、お開きに。あの後も2人であーでもない、こーでもないっていう偏見や主張を話し合って終わった。あれ以来私に触れて来なかったけど、些細なことでドキドキするようになったのはお酒のせい。だって5本も飲んだんだもん、仕方ない。
ただの取引先の男性が、仲の良い飲み友達に変わった事は、私にとって心地よい関係だった。
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時