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土曜日になり、宏光を待っている。
14時。バレないように私のマンションのエントランスに待ち合わせになった。
14時20分。宏光は、来ない。
…そういう人だった?また、そういう人と関わってしまった?
いや時間を守らないような人じゃない。返信は基本真面目だし、というか根から真面目な人。うん、良い人だ。少しだけチャラいけど。
それに…仕事だもん。仕事を投げ出すような人じゃないって、2回会っただけでも分かるじゃない。
…って誰に言い訳してるんだろう。
部屋に戻ろうかな、なんてエントランスを出ると、スマホが震えた。
『…はい』
「A、ほんっとごめん。収録が思ったより伸びちゃって、今家着いた。支度時間かかりそうだからさ、コンシェ…管理人さんに鍵渡してるから俺の部屋来てくれない?」
『え?家?』
あそこのマンションってコンシェルジュなんて居るんだ。凄い。ってそんなことより、家!?
「元々打ち合わせ用に予約してた店さ、時間遅れると思ってキャンセルしちゃったんだよね。部屋勝手に入ってきて良いからさ、じゃ」
ぷーぷーっと電話が終わる。
いや、まあ、うん。お仕事だったなら仕方ない。私が疑ってしまった事の方が罪だ。
でも家って!!仮にも男と女だよね?私どれだけ魅力ないんだ。…周りに素敵な女性沢山居るし、眼中にないのかも。
またきたや…宏光のペースに乗せられた。何も言う前に切るなんて酷い。仕方なく宏光のマンションに向かう。
お腹空いてるかな、なんて思ってパン屋で焼きそばパンを買った。なんか焼きそばパン似合う。
彼曰く"管理人さん"に声をかけ、鍵を受け取る。こんな高層階に住んでるの?…高い。
静かなエレベーターに乗り、部屋の前に到着。ただの仕事相手が…取引先の女が、鍵を使って開けて良いものだろうか。部屋の前でウロウロ。
「あ、やっぱり」
『わ!』
ガチャっと開けられた扉。
「入って来ないと思った。てか、ごめんね。時間遅れちゃって」
『…時間のことは許すので、服着てくれませんかね』
「え?あーふふ、履いてるけどなあ」
『上も着てくださいって意味です!』
急に開けられた事より、頭にタオルをかけた上半身裸の宏光が目の前にいた事に驚いた。ぽたぽた髪から水が垂れる。………色気が。
「ま、とりあえず入って」
『早く着てください』
「わーったよ、敬語やめたらな」
『早く!着て!!』
あははって楽しそう。顔が熱い。
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年12月16日 17時