拾弍 ページ13
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鬼は人を喰らう。そうしなければ、強さを手に入れられない。
その鬼に大切な者と当たり前を奪われた人間は、彼等を忌み嫌い駆逐する。
でも、そんな鬼の正体は
紛れもない、“元”人間。
「やぁA、体はどうだい！」
その後、彼がやってきたのは2日後の晩だった。鬼のくせに、そういうところはやけに人間味があると思う。
久しぶりに見た笑顔に、私の感情はなんら変わらず。
『もう楽になったわ。』
「なんだ、久しぶりに俺が来たと言うのに、いつも通りすぎやしないかい？」
『たかが2日でしょう？それに、まるで私があなたを待ち遠しく思っていたような口ぶりね。』
「え、違うの？」
『……あなたは気楽でいいわね。』
ため息混じりに言葉を吐き捨て、私はいつも通り縁側へと腰かけた。
彼もまた、私と同じ様に縁側へ座る……と思いきや、ごろんと床に寝転んだ。
『そんなところで寝転んで、涼しくないの？』
「涼しくても鬼だからねぇ、風邪はひかないよ。」
『ほんと、便利な体。』
「そんなに言うなら、やっぱり君も…」
『お断りします。』
死んでも死にきれないような体で「
私が死にたいと願うことを知りながらも、この鬼は「
あぁ、なんて身勝手なんだろう。
『そんなくだらない戯言言ってないで、早く私を喰べてくれない？そろそろ待ちくたびれたわ。』
「喰べる……ねぇ。でも、君みたいな人間を殺してしまうのは勿体ない気もする。」
『……よく言うわね。』
この頃ため息が絶えないのは、呑気すぎるこの鬼のせいなのだろうか。またも短く吐いた息は、外に飛び交う虫の声に消える。
夜空に浮かぶのは美しく輝く月。半分に欠けた月は、あと少し経てば綺麗な満月に姿を変えるだろう。
『あら、可愛らしい。』
ぼーっと、空に浮かぶ月を見ていた時、私の膝に一匹の鈴虫が止まった。鈴虫は流暢に、私の膝の上でリンリンと羽を擦らせ鳴いている。
ただ、それもほんの束の間だった。
ギチッと嫌な音を立てて、声は愚かその小さな体すらも、大きな手によって掻き消されたのだ。
『鬼は、虫にも無慈悲なのね。』
「鬼は耳が利くからうるさくてね。……それに、君には夏に飛ぶ鮮やかな蝶の方が似合う。」
ギラり。月明かりに照らされ、彼の目が光った。
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あるでんと(プロフ) - ぱんさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。風邪は年末から年始にかけてすでにひいたので大丈夫だと思います笑 (2020年1月15日 23時) (
レス) id: 484fc6b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん - とても面白いです！続きを楽しみにしてますが、すんごい寒いので体調に気をつけてくださいね！ (2020年1月14日 17時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - あさん» 童磨のキャラブレがとても心配だったので、そう言っていただけて嬉しい限りです。完結までは私のペースになってしまうと思うのですが頑張ろうと思っているので、これからもぜひ、よろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - 狂狐さん» 返信遅れて申し訳ありません。勿体ないお言葉、本当にありがとうございます。とても嬉しいです。少しずつ更新していこうと思っているので、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 童磨さん最高です。すごく面白かったです、これからも応援させていただきます。 (2019年10月24日 17時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるでんと | 作成日時：2019年7月20日 15時
