「マネジ、がんばります」 ページ23
「…どうしよう」
「……どうしようね」
昼休み半ば。私たちマネージャーは、4人そろってうんうん唸っていた。くっつけられた机の上にはそれぞれのお昼ご飯。…と、大量の写真。
「急に作れって言われてもな」
理由は十数分前に遡る。
昼休み開始直後、音無先生に呼び出された私たちは「サッカー部のポスター作成」の依頼をされた。商店街の掲示板に何か雷門中のポスターを飾らないかという話になり、数か月前にホーリーロード(という大きな大会があったらしい)で優勝したサッカー部の名前が挙がったのだとか。
ただ、一つ問題があったのだ。
「提出期限、あさってまでなんですか！？」
「ええ…。本当だったらもっと余裕があったんだけど、商店街の方々の伝達ミスで私たちに話が来るのが遅くなったらしいの」
急でごめんなさいね、と眉を下げて謝罪したあと、音無先生は続ける。
「無理なようならこの話は断るわ。あさっては厳しいだろうし…あなたたち、どうする？」
数秒の沈黙のあと、私たちは顔を見合わせて頷いた。
「やります！」
「なめてもらっちゃ困るぜ先生」
こうして私たちの「急いでポスター作ろう大作戦」が始まったのだった。
というわけで、現在私たちはポスターに使う写真を選んでいる最中なのである。
「とりあえず、神童だけしか映ってないのは却下な」
「そんな…神サマ」
水鳥ちゃんがせっせと写真を仕分けるのを見て、茜ちゃんはへにょりと眉を下げる。葵ちゃんが苦笑いをする横で、私は沢山並べられた写真に釘づけになっていた。
「皆、すごくかっこいいなあ」
「え？」
「試合中の皆は、こんなにいきいきしてるんだね…」
「そっか、Aさんはまだ試合を見たことがありませんもんね」
「うん。これ、全部茜ちゃんが撮ったの？」
肩を落としていた茜ちゃんは、私の問いかけに目をぱちくりとさせた後「うん」と小さく頷いた。
「すごい、茜ちゃんすごいねえ…」
思ったことがそのまま口に出てしまった。まずかったかなと思って茜ちゃんの方を見ると、赤らんだ顔をカメラで半分隠している。照れてるのかな…かわいらしい。
「やっぱり、ホーリーロードの時の写真がいいんじゃないでしょうか！」
「それもそうだな」
「あとは、サッカー部の皆の意見も大事だね」
「じゃあ今日の部活で皆に聞きましょう！イナリンクで言っておきますね」
葵ちゃんの携帯光速文字打ちとそのストラップの多さにはいつ見ても驚く。今ドキ女子ってやつだ。
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作者名：飯 | 作成日時：2021年9月2日 22時
