□thirty seven ページ39
「俺も帰ったほうがいい?…」
まるで捨てられた子犬のような目で見てくる
ずるい。彼はずるい。
甘い声色で問いかける表情に断れる術もなかった
『も、もう少しお話してたいです…』
「大丈夫だよ、2人きりだからって襲いかかったりせんから
俺ももっとAちゃんのこと知っていきたいし最初からそんなガツガツしてて軽い男と思われるんは嫌やし(笑)」
まるで私の心を読んでいるかの様な発言だった
『ありがとうございます…』
「それと、徐々にでええから敬語無くしてってくれると嬉しいかな…」
『ゆっくりでいいなら…頑張ります…』
「本当、会ったばっかやのに色々変な事言うてごめんな。自分でもどうしてこんなに焦ってるんかもわからん(笑)嫌ならハッキリ言うてええねんで?」
時折入り交じる関西弁が可愛くて
思わず微笑んでしまう
ずっと憧れていた人
まさかプライベートとして会えるなんて
夢にしか考えてなかった
裏表なんて微塵も感じられない人で
何もかもに一生懸命で、凄く真っ直ぐな人
気持ちに答えられるかなんて
言えないけど友達として、という感情が芽生える
『嫌じゃないですっ…私ももっと潤さんのこと知りたいですっ!仲良くしたいです。』
改まる場面と思い
あだ名ではなく 潤さん と 名前で呼ぶ
その瞬間ふわっと甘い香りに包まれ
一瞬何が起こったのか理解できなかった
あ…れ?
私、抱きしめられてる…?
身体中の毛穴という毛穴から血が吹き出しそうなくらい、いや、吹き出していいくらい全身が熱かった
だが、一向に動かない…
『あっ…あの……潤さん…?』
おかしい…動かない…
まだ私の身体は熱…熱い…?
もしかしてと思いじゅんじゅんのおでこに触れる
熱い…私の身体が熱いと感じたのはこれか…
そんなこと考えてる場合じゃない、冷やさないと
がっちりした体から抜け出すのは一苦労ではあったが
枕を持ってきてその場に横にさせ
氷水に浸したタオルをおでこに乗せる
スケジュール詰まってて身体休める暇なんてなかったんだろうな…
ふと机の上にある彼の携帯が鳴り
画面には マネージャー と映し出されていた
私は咄嗟に電話に出る
67人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:梓音 | 作成日時:2017年4月30日 13時