ただ、ただ、愛おしくて… (ページ17)

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□sixteen ページ17

- とある日曜 -

とうとう明日から本社勤務

壁に掛けてある新調したてのスーツを眺める

渋谷に通うのは慣れるまで大変そうだなあ

と、呟きながらふと気づく

都会…人が多い…電車通勤…

それはつまり…

通勤時の私服も気を使わなければならない。

一気に冷や汗がでてくる。

どうしよう

普段の職場は車通勤の為、

ラフな格好が多かった。

その為クローゼットを開けるも

週５で着まわせる数もない…

私は急いでiPhoneを手に取って電話をかける

「はいは～い」

『はっ！出た有美！ねえ！聞いて～；ω；』

そう、お洒落とは有美にとっては得意分野なのだ

先ほどの情景を早口で話す

「それで…私にどうしろと？」

『いや、暇でしょ？今』

「暇ですね。」

『じゃあ、行こう！』

「どこに？」

『服を買いに…！！』

「最初っからそうハッキリ言えばいいのに(笑)」

『今から支度するから家出るときLINE入れる～』

「はいはい。あ、足はどうするの？車で行く？」

『私がお迎えにあがらせていただく！じゃ！』

もうお察しかも知れないが

私は友達が少ない

仕事上での付き合いはいくらでもあるが、

プライベートとなると遠ざけてしまう

同僚からの呑みの誘いや
合コンなどの誘いも

全て断っていたため、

そのうち誘いも来なくなった

それはそれで寂しい…

来たとしても断るけど←

まあ…多人数と関わるのが面倒だから

…とでも言っておこうか

特にこれと言った理由はない。

深く狭くが自分には合っている

ただそれだけだ

もし有美が近くにいなかったらと思うと

血の気が引いてしまう。

いっそのこと有美とルームシェアしたいものだ

そう心の中で呟きながら

UMMの曲を流し、準備を始めるのだった