Assortment (HIGH ＆ LOW) (ページ10)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:28,114 hit

クリスマスのご予定は？ 5 小田島くんページ10

「……ごめんなさい」

そういうのがやっとだったが、悪いのは私だ。怒られるのを覚悟で、1歩ずつ歩き始める。あと一歩で目の前って時、

「送り届けたからな」

上田くんが、すれ違いざまに有剣に一言声をかけて歩いていった。

「ありがとな、佐智雄」

お礼を言う声が普段と変わらないトーンだった。やり取りを見ていた私に向き直り、

「さてと、無謀な事したAにどんなお仕置するか考えないとだな」

屈んで私の目を見つめる有剣。

「ほんとにごめん」

自分の馬鹿さ加減に涙が出てきた。泣いてどうなる問題でもないけど、止まらない。

「怒ってないから、もう泣くな」

涙を拭ってくれる傍から止まらない。
声色と拭う手がとても優しい。

「止まらない…」

「A、この時期だからクリスマスの話だろ？」

この人には敵わない。

何かある度に、そう思う。
私が単純だから見抜かれてるのかもしれないけど、ちゃんとわかってくれてる。無言のまま頷き、顔が見れないので、下を向く。

「A」

そう呼ばれ、優しく髪を撫でられる。有剣が、どんな顔をしているのかわからない。

「こっち向いて、A」

クイッと顔を上げられ、視線が交わり微笑まれる。

「で、A。クリスマスのご予定は？」

END