29話「別人のような太陽」 ページ29
✿同刻、ら民町にて＿＿。
「よっし！この路地抜けたらこの通りに出るから後は館に向かっていけば帰れるからな」
『こんな近道あったんだ…』
大きくて重たい荷物を持っているはずなのに、常に私より先を歩いて近道を案内してくれるぐちつぼに頭が上がらない。
好奇心が旺盛な上に方向音痴なのでこういう簡単な近道は本当に助かるのだ。出来るだけ早く覚えないと…。
「そんじゃ、寄り道はここまでにしてそろそろ帰るか！」
『うん、わざわざありがとう』
「気にすんなって！」と言い、笑うぐちつぼにこっちも笑みをこぼしてしまう。
友達って、こういうことを言うんだな＿。と思っていると、
「Aさん」
後ろから聞き覚えのある声に話しかけられるので振り返ってみると、右腕を軽く上げながら笑顔でこちらに向かって歩いてきているぺいんとさんがそこに居た。
……あれ？なんでぺいんとさんがここに居るんだろう。今は特訓中のはずなんだけど。
「A？どうした？」
『え、あ、館のお客さんが町に降りてきてて…』
「客？」
そう言い、私の背中からぺいんとさんの方向を覗き見るぐちつぼ。
ぺいんとさんは笑顔を絶やさずこちらに向かって歩いてきており、夜中だと言うのに彼の周りだけ異様に明るいような感じもする。
夜中でもぺいんとさんは元気そうだな、と思いながら近づこうとしたその瞬間＿＿
「近づくんじゃねぇッ！！」
『え＿』
それは同時だった。
ぐちつぼが私を制止しようと荒げた言葉と、ぺいんとさんが私に突然腕を伸ばして拘束しようとしたのは。
こちらに向かって手を伸ばしていたぐちつぼの手は宙を空振って、空気を掴む。その代わりに私は無理やりぺいんとさんの方へと引き寄せられて、首を掴み上げられていた。
『がッ、…なん、で…っ』
振り解こうにも力が強くて振り解けない圧倒的な実力差を目の前に打ちひしがれる。
若干ぼやけている視界で見えるぺいんとさんの口角は三日月のように吊り上がっており、彼の綺麗な黄色の瞳は“真っ赤”に染まっていた。
「ハッハッハッ！まさか「神に認められし者」ともあろう女がこんな簡単に拘束出来るとはな！お前それでも「六人目」なのか？怪物なのか？」
口を開いたぺいんとさんの口調は前に接した時の彼とは想像もつかないような荒っぽい口調で。
『だ、れ……』
かろうじてあげた言葉に耳を傾けたのか彼はニヤリと笑って
「ぺいんとだよ。お前の知らない、な」
と答えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 902人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒狐 - …！前の作品も読ませていただいてました!リメイク版してるのみて駆けつけました!リメイク版も面白いですね!同じ作品を2度楽しめてこちらも楽しいです！ありがとうございます！更新応援してます! (4月23日 22時) (
レス) @page43 id: fb020f6fb3 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - 2.3年前から読ませて頂いていて何度も読み返すほど大好きな作品です!リメイク前の方も読ませて頂いてます!変わった妖怪という世界観だったりする所やストーリー 設定などとても面白くてめちゃくちゃ好きですまたいつか続きが読める事をずっと待っています。失礼しました (7月3日 11時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ミドロ - なにこれ……か、か…！神作じゃねぇかよぉぉぉぉぉ！！！！更新頑張ってください！！！！ (5月30日 13時) (レス) @page14 id: 9d7832c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - まだ待ってますから、どうか続きを恵んでください (2022年9月11日 17時) (レス) @page14 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 凄い………私もこんなの作って見たいのですか妖怪などが思い浮かばないです……少しだけ真似してもよろしいでしょうか(土下座)続編待っています!! (2022年1月30日 9時) (レス) id: 30ab8735d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
