大嫌いって言わないで４ (ページ1)

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ドキがムネムネ編１ページ1

比与太が待ちに待った土曜日。

数日前から部屋を綺麗にし、ベッドの上もまっさらに整え

○毛1本さえも落ちることを許さず

必須アイテムもきちんと買い揃え

あとはAさんを迎え入れるばかりとなっています。

ルンルン♪と車のキーを取り、部屋を出た比与太

待ち合わせのAさんのマンション前へ車を飛ばします。

しかしながら、楽しみすぎて早すぎる時間に到着した比与太

Aさんがやってくる時間にはあと３０分程はあります。

比与太｢早く会いたいなぁ・・・｣

運転席の窓に肘をついて、空を眺めていました。

以前の自分だったらまだベッドで熟睡している時間でした。

お昼頃目覚めて起き上がり、シャワーを浴びてコーヒーを飲む。

スマホに届いた何件ものメッセージに目を通しながら

今夜はどこに行こうか考える。

適当に遊んで、その夜一緒に過ごす相手を見つけて欲望を満たし家に帰る。

心は満たされていないけれど、それを考えないようにして

また次の日を迎える。

その時はそれなりに楽しんでいたはずなのに

今思うと、一体自分は何が楽しかったんだろうと思うまでに

もう比与太には今の生活が普通になっています。

あと数年で３０歳

そんな自分がAさんと出逢えたことは

偶然ではなく、必然だったのだと

しみじみ感じておりました。

比与太｢はぁ・・・会いたい｣

ポツリと呟いて空をポケーッと見ていると

急に比与太のスマホが鳴り出しました。

比与太｢ん？・・・Aちゃんっ！！｣

そうです。

相手はAさんから

比与太｢もしもしっ！Aちゃん！おはよっ！｣

元気に比与太が電話に出ると、電話の向こうのAさんはどうやら寝ぼけ声

｢おあよ。｣

まるで場末のバーのママのようなしゃがれ声

｢昨日の夜、漫画読んでたら寝るの遅くなっちゃって。

起きたらこんな時間だった。ごめん｣

あらあらAさん

寝坊ですか？

比与太｢そうなんだぁ～。ううん！全然待つよ！俺っ｣

早くAさんに会いたかった比与太は少し残念に思いましたが

今日はこの後ずっと一緒です。

少しの寝坊も屁の河童です。

電話中、比与太の車の近くを焼きいもやさんが通りすぎました。

『焼き焼き～♪いもいも～♪焼きいも～♪』

その声が聞こえたAさん

直ぐにAさんにも窓の外から焼きいも屋さんの声が聞こえてきました。

｢・・・あれ？

比与太イマドコ？｣

比与太｢えっ？・・・あ、えっと・・・｣