御伽噺のお姫様【派生作品】 (ページ6)

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出逢いの話　(イデア・シュラウド×エヴィ・ドラコニア) ページ6

『宜しくね。』

「...ヨロシクオネガイシマス...」

自分より遥かに背が高く、でも威圧感はあまり無い。後顔が綺麗。

イデアは死んだ魚の目で目の前の女性を見つめる。
名前は確かエヴィ・ドラコニア。
茨の谷の第一王女。王女様って言うんだからもっと偉そうなのが来ると思っていたから少しびっくりした。

ニコリと微笑んで自分に目線を合わせる。
目は黄緑と紫色。
珍しいな、ダイクロイックアイか...イデアはその目をじっと見つめた。

『まずは自己紹介をしましょう。私はエヴィ。エラかエヴィーって呼んでくれると嬉しいわ。知っていると思うけれど茨の谷の第一王女よ。』

「僕はイデア・シュラウド。好きに呼んで...クダサイ。」

宜しくね、と頭を撫でられる。

姉のようだ。本当にこの人と結婚するのかと疑いたくなる。

『ふふ。じゃあイデア、で。』

「僕はエラ...で。」

そして要らぬ気遣いで二人きりになってしまったので部屋の外へ出る。
勿論S.T.X.S関連の場所には近付かない。

『弟がいるのよ。知ってるんじゃないかしら?』

「...ドラコニアだから...マレウス・ドラコニア?」

『そう。とっても可愛い私の弟。』

ペラペラと自慢気に弟の事を話すエラ。
何だかさっきの落ち着いたイメージとは少し違って面白い。

「僕にも、弟がいるよ。オルト、オルト・シュラウド。」

『あら、私と一緒ね。貴方の弟くんのお話も聞かせて頂戴?』

イデアは弟と聞かれてはいないが自慢なので妹の事を沢山話した。
自分とは違って自由である事、見ていてこっちまで楽しくなってくるような元気な子である事。可愛くて可愛くてたまらないという事、色々、色々喋った。

『弟ってやっぱり可愛いわよね。分かるわ。』

エラは時々相槌を打ちながら静かに話を聞いてくれた。

『ふふ。とっても弟さんと妹さんが好きなのね。
でもお兄さんでばかりいたら疲れるでしょう?多分...
そうね...暫くはイデアのお姉さんでいる事にするわ。』

近くのベンチで少し休みながらエラはそう言った。

姉、姉。
兄をしていて疲れる事などないが確かに、甘えられる存在は欲しい...と思う。

「...勝手にしたら?...僕は、どっちでも良い。」

『...婚約者より友達とか姉っぽい人から始めるのって良い事だと思わない?私、貴方が大人になるまでお友達でいさせてもらうわ。』

これが、婚約者、エヴィ・ドラコニアとの出逢いだった。