ルーシィと一緒に ページ12
緑の霧が引いたときには、ボートも、乗っていた人々も、姿は無かった。
空の雲が晴れて行くと、緑の霧も消え去った。
「どうなったんだ」
カスピアンは茫然として呟いた。
「生贄です」
「えっ？何処に消えたんです！」
「誰も知りません」
ベルン卿は静かに首を振った。
「あの霧は初め東の海に現れ、漁師や船乗りが次々と呑みこまれました。
そこで我々七人の貴族は、霧の正体を調べようと決めたのです。
それぞれが船を出した。誰も戻らなかった・・・」
ベルン卿は肩を落として話したが、我に返って付け加えた。
「もし人さらいに売り渡されなければ、霧の餌食になるということ」
「・・・早くルーシィを助けなきゃ」
エドマンドは顔色が悪かった。
「手遅れになる」
「あの子なら、きっと売れてしまうわよ、早いうちに」
Aは短剣をブーツに隠しながら言った。
「ま、私もこれからいくんだけど」
「行くって、何処に」
「勿論、人さらいのところよ。さっきつながれていた場所に戻らなくちゃ」
「「えっ？」」
カスピアンとエドマンドは思わず聞き返した。
「『えっ？』って何よ」
「せっかく逃げたんだから、ドリニアン達のところへ行ってくれ」
「もし失敗して、ルーシィ達が連れ去られてしまったらどうするの？
いいこと、私はルーシィと一緒にいるわよ。何かあった時、私はあの子の傍にいてやらなきゃ」
Aはライオンのペンダントをポケットにしまうと、人さらいのところへ戻った。
案の定、Aがいなくなったことで、人さらいたちは大騒ぎをしていた。
Aはその真ん中に飛び出した。
人さらいたちはAを取り囲んだ。
「逃げた娘だ」
「鎖を切って、逃げやがったんだ」
「冗談じゃないわ」
Aは声を張り上げた。
「素手で鎖が切れると思う？もともと鎖が外れてたのよ。貴方達の不始末でしょう」
「生意気な！」
人さらいの一人に殴られそうになり、Aは身をかわした。
人さらいはもう一度手を振り上げたが、もう一人が止めた。
「やめな、パグ。こいつぁ高くつく奴だ、傷をつけねえほうがいい」
「それもそうだな」
Aはもう一度鎖でつながれ、ルーシィの隣に並ばされた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
c-chan=∞『CloveR』 - いえいえ。 続きを見れるだけでも嬉しいです！ これからも頑張ってください！ (2015年1月3日 22時) (
レス) id: 336e66950f (このIDを非表示/違反報告)
月姫(プロフ) - c-chan=∞『CloveR』さん» ありがとうございます！続き楽しみにしてくださっているのに、遅くて申し訳ないです・・・！ (2015年1月3日 10時) (レス) id: b69aaedff2 (このIDを非表示/違反報告)
月姫(プロフ) - リンリンさん» ありがとうございます！更新遅くてすみません・・・ (2015年1月3日 10時) (レス) id: b69aaedff2 (このIDを非表示/違反報告)
c-chan=∞『CloveR』 - 続きどうなるんですかねー。 めっちゃ気になります！その為にも頑張って書いてください！応援してます！ (2015年1月3日 2時) (レス) id: 336e66950f (このIDを非表示/違反報告)
リンリン(プロフ) - 続きめっちゃ気になります！頑張ってください( *´艸｀) (2014年12月31日 1時) (レス) id: ca6816fec9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月姫 | 作成日時：2014年1月11日 12時
