story 43 ページ43
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「……ほんと、うまそうに食べてくれますよねー」
部屋へ訪れてから一時間程が経過し、少しずつ料理へ手をつけながら駄弁っていた時だった。しみじみと私にそう告げて、グラスへ口をつけながらこちらへ視線を寄越す。隙間から覗く口角はゆるりと持ち上がっていて、少なからずいい気分なのだろうという事は見てわかった。
「……だって、おいしいんですもん。」
「もん、って！子供か。」
「こっ、子供じゃないです…！」
「っはは、可愛くていいと思いますけどね。」
そう彼が発した後、無意識のうちに眉間へ皺が寄っていく。可愛くて、という言葉一つで分かりやすく声を詰まらせた私は、静かに顔を俯かせた。ちなみに、本日中で既に二回食らっている。
目の前に座るこの男は、一体どんな気持ちで言ったのだろうか。私が過敏なだけと言ったらそれまでだが、こんな風にサラリと言われて無感情でいられるほど落ち着いた人間ではない。しかも、相手が推しとなれば尚更である。……それにここ最近、こんな風に動揺させられる事が多くなった気がするのだが、これは気のせいだろうか。
─…違う違う、深い意味はない。いちいち反応するな、私。バクバクと心臓がうるさくなる度に、心の中で唱える。だがどんなに気持ちを落ち着けようとも、顔に集まる熱はなかなか引いてはくれなかった。必死に平然を装おうとするもそれは叶わず、単純すぎる自分の脳みそに嫌気が差す。だが結局は、動揺させるような事を言うこの男が悪いのだ。無理やりそう解釈した私は、ほんの少しの反抗も含めて抗議した。
「……あの、可愛いって言うの、禁止でお願いします。」
「っははは、ええ？ちなみになんでっすか。」
「なんでって……、は、恥ずかしいので」
「っふふ、そうなんだ、へーー。」
結果は撃沈。鼻で笑いながら軽く躱され、余計に私が恥ずかしくなって終わりだった。ちらりと彼の顔を盗み見れば、頬杖をついたまま片方の口角を持ち上げ、意地悪く微笑んでいる。……その楽しげに細められた瞳を見て、改めて思った。意外と意地悪な所があるのだ、この人は。
テーブルを挟んでいるとはいえ、距離が近い事には変わりない。足だって伸ばせば触れ合う事など容易いだろう。そんな距離の中で、彼の鋭い双眸はしっかりと私を捉えている。俯いたままで目こそ合わせていないが、確実に赤くなっているだろうからあまり見ないでほしい。─…その瞳に見つめられると、どうしたらいいのか分からなくなるから。
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こんぺい - 最推しの小説を探しててやっと見つけることが出来ました！！！出会えたこの作品と作者様に感謝です、、、、 (2021年11月23日 23時) (
レス) id: 08c835e323 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 本当に好きです！この作品！！ (2021年8月30日 4時) (レス) id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 続く、、続く、、更新めっちゃ頑張ってください、、（なんかプレッシャーになってたらすいません） (2021年6月27日 4時) (レス) id: f269c77d86 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - なぜ今まで読んでいなかったんだ…… めちゃくちゃ面白くて続きが気になります！ (2021年6月21日 18時) (レス) id: 7947c0ed70 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - あらなるがかわいすぎる...更新頑張ってください!!! (2018年8月24日 13時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃。 | 作成日時：2017年11月10日 22時
