305*隠し子!?編35 ページ5
距離の競り合いだけを続ければ続けるほど不利になる予感がして。
まずは手始めに観察と似蔵なる男に斬りかかる。
容赦は……しない。
手を抜けばこちらが……
「甘かったなァ、お嬢さん?」
「なっ……んぐ!!」
速さで遅れをとるまいとほとんど本気でかかったが、絶妙なタイミングのずらしであたしの刀は似蔵には届かず……。
瞬時に似蔵が鞘から抜き出した鋭い鋒が左肩を容赦なく裂いていく。
鋭利な痛みとそこそこの出血に思わず傷口を押さえて呻く。
「Aさん……!!
大丈夫ですか!!」
「大丈夫、ですよ……こはるさん。
心配ご無用ですっ……!」
「さてそんな強がりがいつまでもつのか……見物だな」
これが……本物の居合い斬り……。
下手に近付けばかえってこちらのダメージが大きくなる。
しかし刀を使う以上、最低でも相手に刀が触れなければ話にならない。
「……空っぽのこんな頭でごちゃごちゃ考えても仕方無い……」
……考えるな。
……迷うな。
……本能に……抗うな。
あたしにはアレコレ考えられるような誇れる学と頭は無い。
それならば……この刀とともに……
戦うだけだ。
今までそうやって本能で生き延びた。
人間ってのはやっぱり最後の最後で信じられるのは自分だけだ……ってね。
近付けないならば邪魔なその刀をへし折るまで。
「……さぁ、かかってきなよ?」
「威勢の良いお侍さんは……嫌いじゃないねェ」
そして似蔵は再び同じような動作で間合いを詰めて、刀を振り上げてくる。
何度も同じ手に引っ掛かるようでは松下村塾の塾生達に笑われてしまうではないか。
そんなことを考えながら思いっきり刀を振り下げ、自らの刃でどうにか押し返した。
それに勢いづけるように蹴りを一杯お見舞いしてやる。
34人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モコ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。 ただいまストーリーの作り貯めをしておりましてもうしばらくお待ちくださいm(__)m (2017年5月13日 17時) (レス) id: f3c615ea45 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 疲れたらゆっくり休んでください。 (2017年5月12日 16時) (レス) id: 4d82223b28 (このIDを非表示/違反報告)
モコ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます! こんな作品にそのようなことを言って頂けて嬉しいです(/ー ̄;) 現状は全快といったところなのでこれからまた更新頑張ります♪ (2017年4月10日 19時) (レス) id: f3c615ea45 (このIDを非表示/違反報告)
零 - いつでも待ってます。だから疲れたら休んでください。体壊したら元も子もないですから。 (2017年4月10日 12時) (レス) id: 4d82223b28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:モコ | 作成日時:2017年3月17日 6時