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331*紅桜編16 ページ31

力強く扉のドアノブを捻り、薄暗い甲板を僅かな照明を頼りに歩いていく。


そして……見つけた。




「……晋助……」




あの料亭ぶりに会う、紫煙を優雅にくぐらせる隻眼の男を……。




「よォ、久しぶりだな……A」




ゆっくりと振り返る晋助の背後には見とれてしまうほどの大きな満月があった。



あたしの少し後ろに似蔵が控える気配を感じ取った。


そして晋助は傷だらけのあたし達を見て愉快そうに嗤うのだった。




「紅桜相手にもここまでやるたァな。
また派手にやったもんだ……」


「……晋助。
もうこんなこと……」




そう言いながらあたしは迷うこと無く晋助と距離を詰めた。


ホロ苦く高尚な香があたしを包むかのような錯覚を覚えさせる。




「もうこんなこと……やめて……」




似蔵はすぐに姿を消し、大きな満月だけが二人を眺めていた。



それから返事が返ってこないまま、長い長い間。




「……そいつァ無理だな」


「ちょっ、」




晋助に呆気なく腰を抱かれ、あたしは晋助の胸に顔を埋める形になった。



「オレァ……松陽先生を消したこの世界を壊すだけだ。
それにもうテメェも生きてねえと思ってたからなァ……」


「……え?」


「……もうオレにはAしかねェ」




あたしにはその言葉が哀しみによって紡がれたもののように聞こえてならなかった。




「全てを壊したその時には……オレの隣にAもいる」





あたしは……晋助の永らく抱えていた心の欠陥に触れてしまったかのようで……。



晋助の冷たい腕に抱かれ、それ以上あたしは何も言い返すことが出来なかった……

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作品ジャンル:アニメ
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モコ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。 ただいまストーリーの作り貯めをしておりましてもうしばらくお待ちくださいm(__)m (2017年5月13日 17時) (レス) id: f3c615ea45 (このIDを非表示/違反報告)
- 疲れたらゆっくり休んでください。 (2017年5月12日 16時) (レス) id: 4d82223b28 (このIDを非表示/違反報告)
モコ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます! こんな作品にそのようなことを言って頂けて嬉しいです(/ー ̄;) 現状は全快といったところなのでこれからまた更新頑張ります♪ (2017年4月10日 19時) (レス) id: f3c615ea45 (このIDを非表示/違反報告)
- いつでも待ってます。だから疲れたら休んでください。体壊したら元も子もないですから。 (2017年4月10日 12時) (レス) id: 4d82223b28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モコ | 作成日時:2017年3月17日 6時

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