57*妖刀編34 ページ7
「……そんなこと……考えたこともありませんでしたよ」
佐倉は……
肩を突き刺す刀へ愛おしげに手を重ねた。
「……あんたの分まで……怨みを背負ってあなたの元から去りたかったんじゃない?」
「それが巡り巡ってあなたの元へ……ということですね」
「本当に散々な目にあったけどね!!」
迷惑料ぐらい払わんかい!とあたしは的外れなボケをかまして、刀から手をゆっくり離した。
力無く佐倉は笑って座り込んだ。
「……ってことでね。
お縄について……もらえるよね?」
「……A!!」
「Aさん……!」
「土方さん……! 沖田……!」
佐倉を追い詰めた所で聞き慣れた声が近付いてきた。
怪我はないかと言う土方さんの言葉に内心ギクリとする。
「……えーっと……この場合……正当防衛ってことになりますかね?」
そこでようやく佐倉に視線が向いた土方さんと沖田。
肩から血を流す佐倉と。
その返り血を浴びたあたしと。
心なしか、二人とも顔が引きつったように思えた。
「……やれやれ。
Aさん、これまた派手にやってくれやしたねィ?」
「……あ、ははは……」
「……まぁ先に手ぇ出したのは向こうだからな」
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作者名:モコ | 作成日時:2016年3月26日 21時