９８＊正直に ページ48
銀ちゃんといい勝負ネ、と聞き慣れたあだ名が神楽ちゃんの口から飛び出して、さらに動揺。
しかし、ここで神楽ちゃんに会えるとは。
早くも誤解を解けるチャンスではないか！！
そう思って口を開こうとすれば、もう一度礼を言った神楽ちゃんが背を向け去ろうとしていた。
「かっ、神楽ちゃん……！！」
だが、振り返った神楽ちゃんはあたしとマコトが一致していないので驚いたように振り返る。
「……なんで私の名前知ってるネ？」
「……えっとー。
あぁ……！ マコトから聞いたの！」
「……マコト？ ……ってことは……
お姉ちゃん、Aって名前アルか？」
「っそう！！ そうそう！！」
「マコトの恋人だって銀ちゃん言ってたヨ」
「そうそう！！
……って、そこは違う！」
「どこが違うアル？」
「…………正直に言うね」
真っ向から神楽ちゃんを見つめる。
「……あたしと……マコトは……」
─同一人物なんだ─
そう言いかけた時……。
どこからかパトカーのサイレンが聞こえてきた。
「……やばい！！」
聞き慣れた音に、真選組のパトカーのものだと悟った。
恐らく、ひったくり犯を真選組に引き渡そうと誰かが通報したのだろう。
あたしは咄嗟に神楽ちゃんの腕を掴んでサイレンとは真逆の方向目指して走り出す。
いつもは人を振り回す側だが、今回は後ろからどこに行くのかと焦った神楽ちゃんの声が聞こえてきて。
それが何だか新鮮に感じたりした…────────────
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作者名：モコ | 作成日時：2016年3月26日 21時
