９４＊お節介 ページ44
どうにか小太郎を笑顔にしてあげたくて。
訝しげな視線を背中に感じつつ、小太郎の手を引いて目的地目指して走り出す。
その途中で銀時を見つけて。
「ぎーんとき！
今から松陽の部屋行くけど来る？」
銀時はちらりと時計を見る仕草をしてから、
「……行く」
そう一言返事をして、はしゃぐあたしと戸惑う小太郎の後ろを怠そうな眠そうな顔をして歩いてついてくる銀時。
目的地……『先生』の部屋に辿り着いたあたし達はすぐにお目当てのものを見つけた。
「やーったね！ おやつ発見〜
いつもはちゃんと隠してあるのに今日は机の上だ！ ラッキー」
そう。
あたしが探していたのは『先生』が隠していた……のかどうかは不明だが、和菓子だった。
最初はあたしが偶然見つけたことで、次に銀時を巻き込んでおやつの時間の午後三時。
決まって部屋に忍び込み、あれこれ勝手に手を付けていた。
思えば、この時のこれであたしと銀時は甘いものが好きになったのかも知れない。
「よーし！
松陽に見つかる前に小太郎も選んで！」
「……だが、しかし……」
「……じゃー、オレはこれ」
「じゃあ、あたしこれー！」
あたしと銀時は慣れた手付きで机にあった和菓子を取っていく。
小太郎も控えめに一つ二つ選んだようで、部屋を出ようとした時……
「やっぱりあなた達でしたね」
「……うわ」
「げっ……！！
しょ、松陽ー！？」
部屋に入った時には気付かなかった『先生』が仁王立ちで障子を開けた先に居たのだ。
満面の笑みを浮かべているのが、むしろ怖かった。
「何も食べていないのに減っているなと思っていたら、やれやれ。
こんな可愛い泥棒さん達が犯人とは」
その後、軽い拳骨と取った和菓子を『先生』から頂いて。
縁側に四人仲良く……？腰掛け、おやつタイム。
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作者名：モコ | 作成日時：2016年3月26日 21時
