８８＊屯所にて ページ38
「探しても中々見つけられずにいたからな。
てっきり何者かに追われているのではないかと……」
「小太郎と一緒にしないで」
「オレもヅラと同じことを考えてたっつーのは気にくわねえけどよォ。
面見せねえから一応心配してたんだぞ？」
しきりにあたしのこれまでを聞きたがる二人をどうにか巻いて。
嫌がる銀時の家でプチ同窓会的なるものを始めた。
そんなあたしは神楽ちゃんについての議題をコロッと簡単に忘れてしまっていた…────────────
＊
「……はぁ。
何しに銀時の所に行ったのって話よね……」
あれから遂に土方さんと沖田に見つかり。
小太郎は真選組二人の気配を即座に察知して一足早く万事屋を出た。
残った家主の銀時は置いといて。
あたしは成す術もなく、二人に屯所へ連行され始末書を書いている。
ただし今も真っ白だ。
書こうという意気込みだけは負けないが。
「ってか沖田いっつもサボってるくせに人が抜け出したら捕まえに来るとか卑怯ーっ！！」
沖田の部屋に向かって言ったつもりが、やはり大声のため。
あたしの自室へすっ飛んできたのは鬼の副長さん。
真っ白な始末書を見て、額を押さえていた。
「……始末書ごときに何時間かけるつもりだ……」
「この始末書このまま沖田に回せますよ！
真っ白ですからね！
これこそエコで……
嘘です！！ すみません！
抜刀しないでください」
刀抜き始めた土方さんを何とか宥めると。
土方さんは思い出したように口を開いた。
「今日の夜八時から臨時の会議が入った。
出席しろよ」
「……えー。夜更かしは美容の大敵なんですよー」
「んな時間で夜更かしなんて言いやがるのはババアだけだ」
「誰がババアだァァァアアア」
次はこっちが抜刀しそう……というか抜刀してやる。
それを涼しい顔して受け流した土方さんは悔しいが格好良かった。
そのままあたしの部屋を出て行く。
……そう言えば……
臨時の会議って何だろう……？
今までそんなこと無かったのに。
自室の畳に寝そべって、そんなことをつらつら考えているといつの間にか眠っていたようだった…────────────
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作者名：モコ | 作成日時：2016年3月26日 21時
