81*招かれる誤解 ページ31
蘇りかけた記憶から繋ぎ止めてくれた神楽ちゃんの声にハッとする。
「……神楽、コイツはその……
てめえを幸せにはしてやれねえんだ。
分かるか?」
遠回しに無理だと伝えたい様子の銀時を全力で応援。
何かと難しい年頃の女の子とお見受けする。
バッサリ振ったことをキッカケに恋愛が出来なくなってしまうのは申し訳ない。
この年頃だとガラスのハートだからね!
守ってあげないと……
「そんなん銀ちゃんには決められないネ!
幸せになるかなんて私が決めることアル。
それに愛さえあれば何とでもなるってパピーも言ってたヨ」
……守ってあげないと、ね……!?
うん……!?
なんかこっちが守られてない!?
愛があれば何とでもなるって言い切れるとか、どんだけ良い子なの、強い子なの!
……でも、ごめんね神楽ちゃん。
今回そういうことじゃないのォォオオオ……!
「……いや、その……コイツは神楽に子供も家族の一つも作ってやれねえんだよ」
「その子供も作ったことないような童貞に言われたくないネ」
「はあっ!? オレァ童貞じゃねえ!!」
それは新八君だよね、と思わず口から零れると何で名前を知っているのだと言いたげな新八君の視線を感じる。
まぁ適当にそこは流しといたけど。
ゴリさんあたりの名前を出しといて。
とにかくこの状況をどうにかしなくてはマズい。
あたしが女だとバレないよう。
真選組の名に傷を付けないよう。
かつ神楽ちゃんから気持ちを離すよう。
「んな上手くいく考えなんてねえだろ?」
「そこをどーにかしなきゃマズいの!」
銀時だけを台所まで引っ張って行き、この場を切り抜ける作戦会議。
そして名案でも思い付いたのか、はたまたそうでもないのか。
あたしに何も言わず、二人のもとへ戻る銀時の背中を慌てて追い掛ける。
「……神楽」
いつになく真剣な低い銀時の声にあたしは思わず背筋を正す。
「……コイツにはな……もう特別な人……
まぁつまりは恋人だ。
ソイツがいるってわけだ」
そして銀時から親指を指されるあたし。
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作者名:モコ | 作成日時:2016年3月26日 21時